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SACDサラウンド・レビュー(776) [サラウンド・サウンド・レビュー]

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Beethoven
Diabelli Variations
BIS-1943
Ronald Brautigam (fortepiano)
録音 2015年8月
BIS


ベートーヴェン:ピアノ独奏曲全集Vol.15
・ディアベッリのワルツの主題による33の変奏曲 ハ長調 Op.120
・6つの国歌による変奏曲 Op.105

ディアベリ変奏曲 Op.120(33 Veränderungen über einen Walzer von Diabelli)は、ベートーヴェンが作曲したピアノ独奏曲。1823年に完成された晩年の傑作である。ベートーヴェンの「不滅の恋人」とされるアントーニア・ブレンターノに献呈された。作曲のきっかけは、1819年に作曲家で出版業も営んでいたアントン・ディアベリからの依頼にある。それは、彼の作った主題から、当時のヴィーンの作曲家たちにひとつずつ変奏を作曲してほしいというものであった。その中にはチェルニーやシューベルト、そして若きリストも含まれていた。ベートーヴェンにその誘いがかかったとき、彼はそれを拒否したにもかかわらず、結局ひとりで33もの変奏を作曲し、ディアベリの依頼を受けて作曲された寄せ集めの変奏曲よりも先に出版してしまったのである。

6つの国歌による変奏曲 Op.105(The National Airs with variations)は「主題と6つの変奏曲」又は「6つの民謡主題と変奏曲」とも言われ、ベートーヴェンにより1818年に作曲され、1819年Artaria社により出版された。ウェールズ民謡の田舎家の娘,シンキンは高貴な家の出だった,オーストリア民謡の鉢と小鍋、アイルランド民謡の夏の名残の薔薇、輝くワインを,激しい怒りで構成される。

ロナルド・ブラウティハム(Ronald Brautigam,1954年10月~)はブラウティガムと呼ばれることもある。オランダの主要なピアノ演奏家の一人。アムステルダムに生まれ、スウェーリンク音楽院でヤン・ウィーンに師事。その後、ルドルフ ・ ゼルキンについてアムステルダム、ロンドン、アメリカ合衆国で学んだ。1984 年にオランダの権威ある音楽賞のNederlandse Muziekprijsを受賞した。リッカルド・シャイー、シャルル・デュトワ、ベルナルド・ハイティンク、フランス・ブリュッヘン、フィリップ・ヘレヴェッヘ、クリストファー・ホグウッド、アンドルー・パロット、ブルーノ・ワイルなどの著名な指揮者のもと、主要なヨーロッパのオーケストラと定期的に共演している。最近では2017年2月来日し、モーツァルトやベートーヴェンのピアノ・ソナタを演奏した。
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収録場所が教会であり、フォルテピアノの響きは残響を受け、豊すぎている感がある。特にサラウンド用スピーカからの音はマイクのセッティングを遠目にしているため、アンビエンスな音を多く捉えている。1822年代製作のレプリカでポール・マクナルティ製作によるフォルテピアノを使用。スウェーデン、エステローケル教会

サラウンド・パフォーマンス  ☆☆☆
音質             ☆☆☆☆
チャンネル          5ch

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SACDサラウンド・レビュー(775) [サラウンド・サウンド・レビュー]

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Mahler
Symphony no.3
CCSSA38817(2Disks)
Gerhild Romberger(alto)
Cantemus children's Choir
Ivan Fischer/Budapest Festival Orchestra
録音 2016年9月
Channel Classics

マーラー:交響曲第3番ニ短調

ゲルヒルト・ロンベルガー(Gerhild Romberger)はドイツ、ゼーゲル出身のメゾ・ソプラノ(コントラルト)の歌手。デトモルト音楽大学にて学んだ後、ハイナー・エケルス(Heiner Eckels)、白井光子に声楽を師事。コンサートや歌曲のリサイタルを活動の中心とし、バロックから古典、ロマン派、現代に至るオラトリオや交響曲のソロを歌う。2003年以来デトモルト音楽大学の声楽科教授を務めている。
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バイエルン放送合唱団(独: Chor des Bayerischen Rundfunks)は、ドイツ・バイエルン州ミュンヘンに本拠地を置く、バイエルン放送協会所属の合唱団。1946年5月1日に、ロバート・ザイラーによって設立された。最も古い放送合唱団の一つでもある。首席指揮者は歴代のバイエルン放送交響楽団の首席指揮者が兼任しており、オイゲン・ヨッフム、 クーベリック 、サー・コリン・デイヴィス 、マゼール、ヤンソンスらによって率いられてきた。現代作品も数々の初演を担当しており、シュトックハウゼン、ペンデレツキ、ペルト、リーム、カンチェリ他の代表作を演奏してきた。次世代の才能発掘に熱心であり、ワークショップは繰り返し行われ続けている。

イヴァン・フィッシャー(Iván Fischer, 1951年1月~ )は、ブダペスト生まれのハンガリーの指揮者。ウィーン音楽院でハンス・スワロフスキーに師事し、ウィーン交響楽団などへの客演で正当な音楽を作っている。ユダヤ系ハンガリー人で、父シャーンドル、兄アダム、従兄弟ジェルジも指揮者という音楽家の家族である。ブダペスト祝祭管弦楽団の創設にかかわり、1983年来音楽監督を務めている。また、2011年からはベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団の首席指揮者にも就任した。代表盤は音楽監督を務めるブダペスト祝祭管弦楽団との、バルトークやコダーイ、ドヴォルザークの作品など。
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ブダペスト祝祭管弦楽団(Budapest Festival Orchestra)は、ブダペストを本拠地とするハンガリーのオーケストラである。略称は英語ではBFO、ハンガリー語ではBFZ。2008年2月より現在に至るまで、創設者の一人、イヴァン・フィッシャーが音楽監督を務めている。1983年、指揮者のイヴァン・フィッシャーとピアニストのゾルターン・コチシュを音楽監督として創立した。構成する音楽家による自主的な演奏団体である。祝祭の名からもわかるように、当初は年に3、4回程度、ハンガリーの音楽祭などのイベントで演奏する団体であったが、1992年に常設オーケストラとなった。ハンガリー国内において、ベーラ・バルトーク国立コンサートホールやリスト音楽院大ホールで定期的にオーケストラ公演を行っている。また、定期公演中には毎年3月の「ブダペスト春の音楽祭」への出演も含まれる。近年ではザルツブルク音楽祭をはじめ世界各国の音楽祭に出演するなど、国際的な活躍も目立つ。
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ダイナミックレンジの大きな収録でコンサートホールのセンターで聴くような音に近い。要所にスポットマイクを配した収録と思われ、パワフルな金管の響きと低域弦の豊な響きが印象に残った。サラウンドスピーカーからの音には直接音もかなり入っている。
本ディスクは音楽之友社、「レコード芸術誌」での2017年第55回レコード・アカデミー賞で「特別部門 録音」を受賞した。録音場所はハンガリー、ブダペスト、芸術宮殿(パレス・オヴ・アーツ)

サラウンド・パフォーマンス  ☆☆☆☆
音質             ☆☆☆☆☆
チャンネル          5ch

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SACDサラウンド・レビュー(774) [サラウンド・サウンド・レビュー]

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Rachmaninov, Shchedrin
Piano Concertos
MAR0587
Denis Matsuev (piano)
Mariinsky Orchestra/Valery Gergiev
録音   2014年11月(Rachmaninov)
     2015年4月(Stravinsky,Shchedrin)
Mariinsky

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第1番嬰ヘ短調 Op.1
ストラヴィンスキー:カプリッチョ(1949年版)
シチェドリン:ピアノ協奏曲第2番

ロディオン・シチェドリン(Rodion Konstantinovich Shchedrin, 1932年12月~)はロシア人の作曲家でモスクワの音楽家の家庭に生まれる。父親は音楽理論の教師であり、また作曲家であった。モスクワ合唱教室に学んだ後、モスクワ音楽院でユーリ・シャポーリンとニコライ・ミャスコフスキーに作曲を、ヤコフ・フリエールにピアノを学ぶ。作曲家としての目立った活動に加えて、ピアノやオルガンのヴィルトゥオーゾとしても活動しており、自作の6つのピアノ協奏曲のうち半数は自らの演奏で初演した。ソ連崩壊後は、国際的な演奏旅行や協同制作の機会を利用しており、現在では、年間の活動の拠点をミュンヘンとモスクワに分けて過ごしている。 作曲家としての長年の功労に対して、1989年にベルリン芸術アカデミーより正会員に任命され、1992年には当時のボリス・エリツィン大統領よりロシア国家賞を授与された。
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デニス・マツーエフ(Denis Matsuev,1975年6月~)はロシアのシベリア地方に位置するバイカル湖沿岸の都市イルクーツクの音楽一家に生まれる。4歳でピアノを始め、たちまち素晴らしい才能を現す。1984年、9歳の時にハイドンのピアノ協奏曲でデビュー。地元の芸術学校を経て、モスクワ音楽院付属中央音楽学校に転入。在学中に南アフリカのローデンポート国際音楽コンクールでグランプリを獲得。94年、モスクワ音楽院に入学し、ナセドキン、ドレンスキーに師事。1998年に行われた第11回チャイコフスキー国際コンクール、ピアノ部門で優勝した。最近では2017年12月にはゲルギエフ、マリインスキー劇場管弦楽団と共に来日し、ラフマニノフのピアノ協奏曲を第1番から第4番までを演奏した。
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ヴァレリー・ゲルギエフ(Valery Abisalovich Gergiev, 1953~ )はモスクワでオセット人の両親の家庭に生まれる。その後、北オセチア共和国の首都オルジョニキゼ(現在のウラジカフカス)に移り、オルジョニキゼ音楽学校を卒業後、レニングラード音楽院(現サンクトペテルブルク音楽院)でイリヤ・ムーシンに師事し、指揮法を学ぶ。同院在学中にカラヤン指揮者コンクール2位、全ソ指揮者コンクール1位の栄誉に輝く。1977年レニングラード音楽院を卒業し、テミルカーノフの助手としてキーロフ劇場(現マリインスキー劇場)の指揮者となる。1988年、マリインスキー劇場の芸術監督に選出され、同劇場を世界中が注目する一流歌劇場へ発展させた、カリスマ性を備えた現代屈指の指揮者。2007年よりロンドン響首席指揮者。

マリインスキー劇場管弦楽団(Mariinsky Orchestra)、旧称キーロフ管弦楽団は、ロシア・サンクトペテルブルクにあるマリインスキー劇場付属のオーケストラである。ピョートル大帝の治世のもと18世紀に創設。ロシアで最も古い音楽団体として、由緒ある歴史を誇る。マリインスキー劇場は、19~20世紀の名作オペラやバレエが多数生まれた場所であり、ボロディン「イーゴリ公」、ムソルグスキー「ボリス・ゴドノフ」、チャイコフスキー「くるみ割り人形」「眠りの森の美女」のほか、プロコフィエフ、ショスタコーヴィチ等がオペラやバレエの初演を行った。最近では2017年12月にはゲルギエフと共に来日した。

マリインスキー劇場ホールでのライヴ録音で、聴衆のノイズは完全に消されているが、編集による音質の劣化はあまり感じらせない出来。高域弦の音の伸びはあまり感じられないが、ピアノはナチュラルで良い響きをしている。ストラヴィンスキーでは豊かなホールトーンのある収録になっている。

サラウンド・パフォーマンス  ☆☆☆☆
音質             ☆☆☆☆
チャンネル          5ch

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SACDサラウンド・レビュー(773) [サラウンド・サウンド・レビュー]

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Musings
Chopin & Schubert
CC72756
Camiel Boomsma
録音 2017年5月
Challenge Classics

ショパン:
夜想曲第1番 変ロ短調 Op.9-1
即興曲第3番 変ト長調 Op.51
夜想曲第17番 ロ長調Op.62-1
夜想曲第13番 ハ短調 Op.48-1
シューベルト:ピアノ・ソナタ第21番 変ロ長調 D.960

カミエル・ブームスマ(Camiel Boomsma,1990年~)オランダ、アムステルダム生まれのピアニスト。アムステルダム音楽院にてマルセル・ボーデ教授(Marcel Baudet)に師事。2013年のワーグナー・アニバーサーリー・イヤーにワーグナー奨学金財団より奨学金を得る。ブームスマは旋律を美しく歌うことでBBCミュージック・マガジンやグラモホン誌にて高く評価された。
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録音レベルが低めの収録だが、ピアノの響きは自然で、音像はセンターに集中することなく、左右への広がりがあり、サラウンドスピーカーからは教会の豊かなアンビエンスな音を感じる。収録はオランダ、ウエストヴェスト教会

サラウンド・パフォーマンス  ☆☆☆
音質             ☆☆☆☆
チャンネル          5.1ch

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