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SACDサラウンド・レビュー(789) [サラウンド・サウンド・レビュー]

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Mendelssohn
Ein Sommernachtstraum
CCSSA37418
Anna Lucia Richter (soprano)
Barbara Kozelj (alto)
Pro Musica Girls’ Choir, Nyiregyhaza
Ivan Fischer/Budapest Festival Orchestra
録音 2015年1月
Channel Classics

メンデルスゾーン:劇付随音楽「真夏の夜の夢」 Op.61
ファニー・メンデルスゾーン:
・5月の夜 Op.9-6
・遠い過去 Op.9-2
・ゴンドラの歌 Op.1-6

「夏の夜の夢」(独: Ein Sommernachtstraum)には、メンデルスゾーンが作曲した演奏会用序曲(作品21)及び劇付随音楽(作品61)であり、いずれもシェイクスピアの戯曲「夏の夜の夢」が元になっている。中でも「結婚行進曲(英語版)Hochzeitsmarsch」が特に有名。演奏会用序曲は姉のファニーと楽しむためのピアノ連弾曲として書いたものであったが、すぐにこれをオーケストラ用に編曲したのに対し、序曲に感銘を受けたプロイセン王フリードリヒ・ヴィルヘルム4世の勅命により、メンデルスゾーンは1843年に序曲の主題も再利用して「夏の夜の夢」上演のための付随音楽作品61を作曲することとなった。12曲で構成されており、9曲目に有名な結婚行進曲が入っている。演奏時間は約45分。

ファニー・メンデルスゾーン=ヘンゼル(Fanny Mendelssohn-Hensel, 1805年11月~1847年5月)は、ドイツのピアニスト・作曲家、アマチュアの指揮者。19世紀前半において、フランスのルイーズ・ファランクと並んで女性作曲家のパイオニアとなったことにより、女性作曲家およびジェンダー研究の対象として再認識されている。作曲家フェリックス・メンデルスゾーンの姉としてよく知られている存在であるが、近年彼女自身の作曲家・ピアニストとしての業績が見直され再評価されつつある。個別に数えると600曲近い作品を遺したと言われている。あまりにも膨大な数から、その全貌が解明されたとはまだ言えない。しかし、楽譜の出版や演奏・録音によって、作品の一部は身近になりつつある。作品に管弦楽曲と室内楽はほとんどなく、ピアノ曲と声楽曲が莫大な作品数の中心を占めている。現在とりわけ有名なピアノ三重奏曲は、死後に弟フェリックスの校訂により出版された。ファニーの多くの歌曲は、当初フェリックスの名の下、作品8と作品9として出版された。

アンナ・ルチア・リヒター(Anna Lucia Richter,1990年~)ドイツ、ケルン生まれのソプラノ歌手。音楽家の家系に生まれ、9歳から母親から声楽の手ほどきを受け、ケルン大聖堂少女聖歌隊の隊員となる。2004年~2008年までバーゼル音楽院のクルト・ヴィトマー(Kurt Widmer)教授に師事。 2007年~2013年までケルン音楽アカデミーのクレジー・ケリー=モーグに師事した。2008年ベルリン全国声楽コンクール年少部門第2位、2011年キッシンゲンの夏音楽祭ルイトポルト賞、2011年フェリックス・メンデルスゾーン賞を受賞。2012年、ツヴィッカウで行われた国際ロベルト・シューマン・コンクール優勝。
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バルバラ・コゼリ(Barbara Kozelj)スロヴェニア出身のアルト歌手。リュブリャナの音楽アカデミーで音楽の声と指導を学んだ。 22歳で、ハーグ王立音楽院で声楽をSasja Hunnegoに師事し、2005年に音楽とオペラのマスターを修了し、De Nieuwe Opera Academie(DNOA)のアンサンブルに参加した。
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プロムジカ女声合唱団(Pro Musica Girls’ Choir, Nyiregyhaza)ハンガリーの女声合唱団。ニーレジハーザ市コダーイ小学校の卒業生が別の高校に進みながらも週末に集って、1986年に結成。75年にカンテムス少年少女合唱団を結成したハンガリー南部マコー出身の指揮者で音楽教師のデーネシュ・サボーが設立に参加。以来、世界的なコンクールで数多くのグランプリを獲得し、欧州随一の女声合唱団として名高い存在に。92年にはカンテムス少年少女合唱団と初来日し、日本の合唱界に衝撃を与えた。2016年には30周年記念コンサートを開催した。

イヴァン・フィッシャー(Iván Fischer, 1951年1月~ )は、ブダペスト生まれのハンガリーの指揮者。ウィーン音楽院でハンス・スワロフスキーに師事し、ウィーン交響楽団などへの客演で正当な音楽を作っている。ユダヤ系ハンガリー人で、父シャーンドル、兄アダム、従兄弟ジェルジも指揮者という音楽家の家族である。ブダペスト祝祭管弦楽団の創設にかかわり、1983年来音楽監督を務めている。また、2011年からはベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団の首席指揮者にも就任した。代表盤は音楽監督を務めるブダペスト祝祭管弦楽団との、バルトークやコダーイ、ドヴォルザークの作品など。

ブダペスト祝祭管弦楽団(Budapest Festival Orchestra)は、ブダペストを本拠地とするハンガリーのオーケストラである。略称は英語ではBFO、ハンガリー語ではBFZ。2008年2月より現在に至るまで、創設者の一人、イヴァン・フィッシャーが音楽監督を務めている。1983年、指揮者のイヴァン・フィッシャーとピアニストのゾルターン・コチシュを音楽監督として創立した。構成する音楽家による自主的な演奏団体である。祝祭の名からもわかるように、当初は年に3、4回程度、ハンガリーの音楽祭などのイベントで演奏する団体であったが、1992年に常設オーケストラとなった。ハンガリー国内において、ベーラ・バルトーク国立コンサートホールやリスト音楽院大ホールで定期的にオーケストラ公演を行っている。また、定期公演中には毎年3月の「ブダペスト春の音楽祭」への出演も含まれる。近年ではザルツブルク音楽祭をはじめ世界各国の音楽祭に出演するなど、国際的な活躍も目立つ。

1ポイントマイクをメインとした録音と思われ、コンサートホールの中ほどで聴く音に近い。サラウンドスピーカーからの音には直接音がかなり入っている。収録場所はハンガリー、ブダペスト、芸術宮殿(パレス・オヴ・アーツ)

サラウンド・パフォーマンス  ☆☆☆☆
音質             ☆☆☆☆
チャンネル          5ch

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SACDサラウンド・レビュー(788) [サラウンド・サウンド・レビュー]

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Dvořák Tchaikovsky Borodin
String Quartets
BIS-2280
Escher String Quartet
録音 2017年3月
BIS

ドヴォルザーク:弦楽四重奏曲第12番ヘ長調 「アメリカ」 Op. 96, B. 179
チャイコフスキー:弦楽四重奏曲第1番ニ長調 Op. 11
ボロディン:弦楽四重奏曲第2番ニ長調

ボロディンの弦楽四重奏曲 第2番は、1881年にジトヴォで作曲、1882年に初演されたとされる。ボロディンが妻に愛を告白した20周年の記念として、愛妻に捧げるために作曲した。ボロディンの、そして19世紀ロシア帝国を代表する室内楽のひとつである。第3楽章は"ボロディンのノクターン"として親しまれており、甘美で叙情的な曲。4楽章からなり、演奏時間は約29分。

エッシャー弦楽四重奏団( Escher String Quartet)は、アメリカ、マンハッタン音楽学校に学んだ音楽家たちが2005年に結成し、ニューヨークを拠点として活動している。2013年、エヴェリー・フィッシャー・キャリアグラントを受賞。現在、リンカーン・センター室内楽協会(Chamber Music Society of Lincoln Center)のレジデンスアーティストである。ツェムリンスキーの作品で一躍脚光をあび、深い音楽的な洞察やたぐいまれな色調の美しさに高い評価を受けている。カルテットの名前はオランダの現代画家M.C.エッシャーに由来している。当初のメンバーはアダム・バーネット=ハート(1stVn)、アーロン・ボイド(2ndVn)、ピエール・ラポイント(Va)、デイン・ヨハンセン(Vc)だったが、現在は2ndVn がダンビ・ウム(Danbi Um)、Vcがブルック・シュペルツ(Brook Speltz)に変わった。
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録音レベルは少し高めだが、各楽器の定位はしっかりとしており、音のバランスも良い。サラウンドスピーカーからの音はマイクを遠目にセッティングしてアンビエンスな音を捉えている。収録場所はドイツ、ニュルンベルク近郊にあるNeumarkt in der Oberpfalz, Reitstadel

サラウンド・パフォーマンス  ☆☆☆☆
音質             ☆☆☆☆
チャンネル          5ch

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SACDサラウンド・レビュー(787) [サラウンド・サウンド・レビュー]

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A La Russe
BIS-2150
Alexandre Kantorow(piano)
録音 2016年4月
BIS


ピアノ作品集
ラフマニノフ:ピアノ・ソナタ第1番 ニ短調 Op.28
チャイコフスキー:
・18の小品 Op.72 (抜粋)
・2つの小品 Op.1 第1曲 ロシア風スケルツォ
ストラヴィンスキー:組曲「火の鳥」(抜粋)(G. アゴスティによるピアノ編)
バラキレフ:東洋風幻想曲 「イスラメイ」 Op.18

ミリイ・アレクセエヴィッチ・バラキレフ( Mily Alekseyevich Balakirev, 1837年1月~1910年5月)は、ロシアの作曲家。ロシア「五人組」の指導者として活躍。少年時代に、ロシアにおけるモーツァルトの伝記作家ウーリビチョフから、さまざまな有益な音楽教育を受けた。18歳でサンクトペテルブルクに上京、大学で数学を専攻した後、ミハイル・グリンカの面識を得る。バラキレフを中心にツェーザリ・キュイらが集まって、1862年に無料音楽学校が設立される。残された作品はあまり多くないが、ロシア民謡の要素に基づき、作品は親しみやすい。代表作のピアノ曲「イスラメイ」は、難曲として有名だが、それ以外のピアノ曲は、理想として思い描いていたショパンやシューマン、リストの影響を鮮明に示している。2曲の交響曲を残している。

東洋風幻想曲「イスラメイ」(仏語:Islamey : Fantaisie orientale)はバラキレフが1869年9月に書き上げたピアノ曲。自由なソナタ形式でまとめられた幻想曲であり、ピアノ曲の歴史において、最も演奏至難な独奏曲の一つに数えられている。作品を献呈されたニコライ・ルビンシテインにより初演された。

アレクサンドル・カントロフ(Alexandre Kantorow, 1997年~)パリ生まれのロシアのピアニスト。名ヴァイオリニスト、ジャン=ジャック・カントロフを父にもつ。5歳からピアノを習い始め、パリのスコラ・カントルム音楽院にてIgor Laszkoに師事。その後パリ国立高等音楽院にてフランク・ブラレイ(Frank Braley)、上田晴子(Haruko Ueda)に師事。 16歳のときにナントおよびワルシャワでのラ・フォルジュルネでシンフォニア・ヴァルソヴィアと共演し、ラフマニノフのパガニーニの主題による狂詩曲を披露し、抜群のテクニックと情感豊かな演奏で聴衆を熱狂させた。
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ヤマハのコンサート・グランドの特徴である中音部~高音部の明るい響きのある音色を出した演奏で、特に難曲のイスラメイでは良い響きを醸し出した演奏に感じた。サラウンドスピーカーからの音はスタジオでのセッションだがアンビエンスな音も感じる。
収録場所はフランス、Ivry-sur-Seine、Studio-4’33

サラウンド・パフォーマンス  ☆☆☆
音質             ☆☆☆☆
チャンネル          5ch

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SACDサラウンド・レビュー(786) [サラウンド・サウンド・レビュー]

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Vivaldi
Les Quatre Saisons
CCSSA40318
Rachel Podger/Brecon Baroque
録音 2017年10月
Channel Classics


ヴィヴァルディ:
・ヴァイオリン協奏曲集「四季」
・ヴァイオリン協奏曲ニ長調 RV.208「ムガール大帝」
・ヴァイオリン協奏曲ホ長調 RV.270「安らぎ」
・ヴァイオリン協奏曲ホ長調 RV.271「恋人」

レイチェル・ポッジャー(Rachel Podger,1968年~)はイギリス生まれのヴァイオリニスト。ドイツのルドルフ・シュタイナー・スクールで教育を受け、帰国後ギルドホール音楽演劇学校でミカエラ・コンバーティとデイヴィッド・タケノに師事した。在学中からバロック奏法に興味を惹かれ、バロック音楽を専門とするフロレジウムとパラディアン・アンサンブルという楽団の創設に関与する。その後も、このアンサンブルとコンサート・ツアーやレコーディングに参加し、国際的にも高く評価されている。1997年、トレヴァー・ピノックに招かれ、イングリッシュ・コンサートのコンサートミストレス兼協奏曲ソリストに就任、ますます多忙な日々となった。2015年に英国王立音楽院(RAM)のバッハ賞を受賞。最近では2018年6月~7月開催の調布国際音楽祭2018に来日し、バッハの無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番などを演奏した。
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ブレコン・バロック(Brecon Baroque)はウェールズ南部の町ブレコンにある大聖堂で行われる音楽祭“ブレコン・バロック・フェスティバル”のために,ポッジャー自身が選び抜いたメンバーを集めて創設した2007年創設の古楽アンサンブル。
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演奏はポッジャーを含め、バロック・ヴァイオリンのヨハネス・プラムゾーラー(Johannes Pramsohler)、サビン・ストファー(Sabine Stoffer)、ヴィオラのジェーン・ロジャーズ(Jane Rodgers)、チェロのアリソン ・マクギリヴレイ(Alison McGillivray)、ヴィオローネの(Jan Spencer)、テオルボのダニエレ・カミニティ(Daniele Caminiti)チェンバロ、室内オルガンのマルツィン・シヴィオントキエヴィチ(Marcin Swiatkiewicz)の計7名。

Vn×3、Va×1、Vc×1、Cemb or Chamber organにヴィオローネ、テオルボが参加した小編成での四季は新鮮さを感じた。各楽器とのバランスは良く、定位もしかりしている。特にポッジャーの弾くバロック・ヴァイオリンは透明感のある響きをしている。教会での収録だがアンビエンスな音はあまり感じない。収録はロンドン、St Jude’s Church

サラウンド・パフォーマンス  ☆☆☆☆
音質             ☆☆☆☆☆
チャンネル          5ch

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SACDサラウンド・レビュー(785) [サラウンド・サウンド・レビュー]

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Shostakovich & Martinů
Cello Concertos
BIS-2257
Christian Poltéra
Gilbert Varga/Deutsches Symphonie-Orchester Berlin
録音 2016年2月
BIS

ショスタコーヴィチ:チェロ協奏曲第2番 ト短調 Op.126
マルティヌー:チェロ協奏曲第2番 H 304

ボフスラフ・マルティヌー(Bohuslav Martinů ,1890年12月~ 1959年8月)は、チェコ出身の作曲家。7歳からヴァイオリンを習い、12歳の時には弦楽四重奏曲を作曲している。プラハ音楽院に入学したが途中で退学。1919年にはカンタータ「チェコ狂詩曲」でスメタナ賞を受賞し、作曲家としてのデビューを飾った。大変多作な作曲家で400作を残した。6曲の交響曲を始め、様々な楽器のための30曲近くもの協奏曲、11作のオペラをはじめ、あらゆる分野で作曲を行った。

クリスチャン・ポルテラ(Christian Poltera,1977年~)スイス、チューリッヒ生まれのチェロ奏者。17歳の若さでヨーヨー・マの代役としてダヴィット・ジンマン指揮チューリヒ・トンハレ管弦楽団でエルガーのチェロ協奏曲を演奏。トリオ・ツィンマーマンのチェロ担当。使用チェロはストラディヴァリウス‘Mara’(1711年)
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ギルバート・ヴァルガ(Gilbert Varga, 1952年1月~)は、ハンガリー系イギリス人の指揮者。ロンドンに生まれる。父はヴァイオリニストのティボール・ヴァルガ。フランコ・フェラーラ、セルジュ・チェリビダッケ、シャルル・ブリュックに学ぶ。ホーフ交響楽団、フィルハーモニア・フンガリカの首席指揮者等を歴任し、現在はバスク国立交響楽団の音楽監督。エリザベート王妃国際音楽コンクールの最終選考において、ベルギー国立管弦楽団を指揮することでも有名。2013年より台北市立交響楽団(TSO)首席指揮者に就任。
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ベルリン・ドイツ交響楽団(独: Deutsches Symphonie-Orchester Berlin 略称:DSO)は、ドイツの首都ベルリンに本拠を置くオーケストラである。1946年、西ベルリンのアメリカ軍占領地区放送局(英: Radio In the American Sector,独: Rundfunk im amerikanischen Sektor, 通称:RIAS)のオーケストラ(独:RIAS-Symphonie-Orchester)として設立された。1956年にはベルリン放送交響楽団(独:Radio-Symphonie-Orchester Berlin, 英:Berlin Radio Symphony Orchestra)と改称した。歴代の首席指揮者はフェレンツ・フリッチャイ、ロリン・マゼール、リッカルド・シャイー、ウラディーミル・アシュケナージ、ケント・ナガノ、インゴ・メッツマッハー。2012年からはトゥガン・ソヒエフが務めている。
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ソロのチェロはあまり前に出ることもなく、バックのオーケストラとの音のバランスは良い。要所にスポットマイクを配しているが、音響空間も広く、各楽器の定位もはっきりしている。録音場所はドイツ、ベルリン、イエス・キリスト教会

サラウンド・パフォーマンス  ☆☆☆☆
音質             ☆☆☆☆
チャンネル          5ch

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