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SACDサラウンド・レビュー(802) [サラウンド・サウンド・レビュー]

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R.Strauss/Debussy/Ligeti
Orchestral Works
Jonathan Nott/Orchestre de la Suisse Romande
録音 2018年6月
Pentatone


リヒャルト・シュトラウス:バレエ組曲「泡立ちクリーム」TrV 243a
クロード・ドビュッシー:遊戯
ジェルジ・リゲティ:メロディーエン

リゲティ・ジェルジュ・シャーンドル(Ligeti György Sándor ,1923年5月~2006年6月)は、ハンガリーの現代音楽の作曲家。ウィーン音楽院に学び、その後、ケルンでカールハインツ・シュトックハウゼンらの現代音楽の手法に触れ、前衛的な手法を身に付けていった。クラシック音楽で実験的な作品を多く残したほか、スタンリー・キューブリック監督作「2001年宇宙の旅」や「シャイニング」などに音楽が使用されたことでも知られる。ジェルジ・リゲティとも表記される。

リヒャルト・シュトラウスのバレエ組曲「泡立ちクリーム」 Schlagobers(Ballet Suite “Whipped Cream”)はウィーンで、その名の知れた洋菓子店『デメル』のお菓子から着想を得て1921年に作曲された2幕27曲で構成されるバレエの組曲で導入部を含め9曲で構成されている。1924年の作曲者自身の生誕60年を記念するウィーン国立歌劇場の公演の演目として初演された。泡立ちクリームはホイップクリームのことで、このバレエが発表された頃のウィーンは第1次大戦後の食糧難の時期で、そのような時期にお菓子とは何事だ!と叩かれてほとんど演奏されなくなったとされている。

ジョナサン・ノット(Jonathan Nott, 1962年12月)イギリスの指揮者。当初ケンブリッジ大学で音楽学を専攻したのち、マンチェスターのロイヤル・ノーザン音楽大学で声楽とフルートを学ぶ。後に指揮に転向し、ロンドンに学ぶ。フランクフルト歌劇場などでカペルマイスターを務めた。2000年バンベルク交響楽団の首席指揮者に就任。ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団など欧州の主要オーケストラに客演している。幅広いレパートリーを持ち、現代音楽にも強みを発揮する。バンベルク交響楽団とはたびたび来日しており、2009年にはブラームス・チクルスを展開した。また、NHK交響楽団とたびたび共演している。2014年9月、東京交響楽団第3代音楽監督に就任。2017年1月からはスイス・ロマンド管弦楽団音楽監督に就任した。
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スイス・ロマンド管弦楽団( L’Orchestre de la Suisse Romande)は1918年エルネスト・アンセルメによってジュネーヴで結成された楽団。1938年にはローザンヌ放送管弦楽団を吸収し,発展した。アンセルメの指導のもとで繊細で透明な音質を特色とする独特の個性をもつ楽団に仕上げられた。1967年アンセルメの引退後,音楽監督に1970~1977年サヴァリッシュ,1978~1985年ホルスト・シュタイン、85~97年アルミン・ジョルダン、ファビオ・ルイジ、2005年より2012年までマレク・ヤノフスキが、2012年7月から2015年まではネーメ・ヤルヴィ、2017年1月からはジョナサン・ノット(Jonathan Nott)が就任した。2012/2013年のシーズンより2017年夏まで山田和樹が首席客演指揮者を務めた。
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ヴィクトリアホールの豊かなホールトーンを伴い、ホールの中ほどで聴いているように感じる録音になっている。ダイナミックレンジは大きく、音場も大きく広がっており、各楽器の定位感も良い。サラウンドスピーカーからの音はアンビエンスがメインで低めに抑えている。

サラウンド・パフォーマンス  ☆☆☆☆
音質             ☆☆☆☆
チャンネル          5ch

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SACDサラウンド・レビュー(801) [サラウンド・サウンド・レビュー]

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Robert Schumann
Scenes and Fantasies
CC 72776
Einav Yarden(Piano)
録音 2017年9月
Challenge Classics

シューマン:
・3つの幻想小曲集 Op.111
・幻想曲 ハ長調 Op.17
・森の情景 Op.82

幻想曲 ハ長調(Fantasie)作品17は、1836年に作曲されたシューマン初期のピアノ曲で、「クライスレリアーナ」などと並び、彼のロマン主義志向が顕著に現れた代表的作品である。3楽章からなるソナタ風幻想曲で、演奏時間は約26分。

「森の情景」(Waldszenen)作品82は、1848~1849年に作曲された9曲からなるシューマン後期のピアノ独奏曲集。総演奏時間は約18分。

エイナフ・ヤルデン(Einav Yarden,1978年~)イスラエル、テル・アヴィヴ生まれのピアニスト。イスラエル音楽院(Israel Conservatory of Music)にてHadassa Gonenに師事。テル・アヴィヴのルービン音楽アカデミー(Rubin Music Academy)にてエマニュエル・クラソフスキー(Emanuel Krasovsky)に師事。Peabody ConservatoryにてLeon Fleisherに師事。2006年ミネソタ国際ピアノコンクールで優勝、2009年ベートーヴェン国際コンクール第3位入賞。
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ソロのピアノの録音だが、音像はセンター付近に立体感のある広がりを伴っている。ピアノは中低域弦の響きが豊で、ナチュラルな音をしている。サラウンドスピーカからの音はマイクを遠目にセッティングして、アンビエンスな音を捉えている。録音場所はドイツ、ニュルンベルク近郊にあるNeumarkt in der Oberpfalz, Reitstadel

サラウンド・パフォーマンス  ☆☆☆
音質             ☆☆☆☆
チャンネル          5.1ch

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SACDサラウンド・レビュー(800) [サラウンド・サウンド・レビュー]

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Transfigured Night
PTC5186717
Alisa Weilerstein (Cello)
Trondheim Soloists
録音 2018年4月
Pentatone

ハイドン:
・チェロ協奏曲第2番 ニ長調 Hob.VIIb:2
・チェロ協奏曲第1番 ハ長調 Hob.VIIb:1
シェーンベルク:浄められた夜 Op.4 (弦楽オーケストラ版)

アリサ・ワイラースタイン(Alisa Weilerstein,1982年4月~)は米・ニューヨーク出身のチェロ奏者。4歳でチェロを開始。95年の13歳でクリーヴランド管にデビュー。2006年にレナード・バーンスタイン賞、2008年にはリンカーンセンターのマーティン・E・セーガル賞を受賞。2010年にはベルリン・フィルの欧州コンサートのソリストとしてダニエル・バレンボイム指揮の下で演奏するなど一流オーケストラや指揮者との共演を重ね、ソリストや室内楽奏者として世界の主要な音楽祭にも出演。最近では2016年11月に来日し、J.S.バッハの無伴奏チェロ組曲やドヴォルザークの チェロ協奏曲などを演奏した。
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トロンハイム・ソロイスツ(Trondheim Soloists)は1988年に結成された若手17人からなるノルウェー第3の都市トロンハイムを拠点とする室内アンサンブル。1999年アンネゾフィ・ムターをソロとするヴィヴァルディの「四季」をドイツ・グラモホンからリリース。その後、高音質で知られるノルウェーのレーベル2L社から次々とブルーレイ・オーディオをリリースし、グラミー賞にノミネートされた。
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シェーンベルクの「浄められた夜」は弦楽六重奏曲のために1899年に作曲されたが、当演奏は1943年改訂された弦楽合奏のための編曲版。

アンサンブルを前後、左右に配したサラウンド録音で知られるノルウェー、2Lレーベルでおなじみのトロンハイム・ソロイスツとチェロのソロとの録音だが、ブックレットの写真によると、アンサンブルとソロのチェロを対向した配置としている。

高域弦の音は伸びが有り、低域弦は豊かな響。ソロのチェロはクリアでナチュラルな響きを伴っている。小編成のアンサンブルでソロのチェロを半円状に囲むような配置なので、横への広がり感はあまり無い。教会での録音だが残響はそんなに感じられない。サラウンドスピーカーからの音はアンビエンスがメイン。録音場所はノルウェー中部トロンハイム近郊のセルビュ市に有るセルビュ教会

サラウンド・パフォーマンス  ☆☆☆☆
音質             ☆☆☆☆☆
チャンネル          5ch

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SACDサラウンド・レビュー(799) [サラウンド・サウンド・レビュー]

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Richard Strauss
Also sprach Zarathustra
PTC5186597
Vladimir Jurowski/Rundfunk-Sinfonieorchester Berlin
録音 2016年6月 
PentaTone

R. シュトラウス:交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」 Op.30,TrV176
グスタフ・マーラー:
・交響詩「葬礼」(交響曲第2番ハ短調「復活」第1楽章初稿)
・交響的前奏曲(A. ギュルシングによる復元版)

マーラーの交響詩「葬礼」(Todtenfeier)は自身の交響曲第2番「復活」の第1楽章の初稿にあたる曲で、1888年に作曲された。「復活」の第1楽章に大筋は似ており、細部では違いがあるが、全体としては同一の音楽で、ソナタ形式で書かれている。

マーラーの「交響的前奏曲」はアントン・ブルックナーの関連性を問われた偽作説もあり、ドイツではこの説が支持されているが、作品完成までの過程の一部がブルックナーに依る可能性があるという程度の関係であり、定説には至っていない。

ウラディーミル・ユロフスキ(Vladimir Jurowski,1972年4月~)は、ロシア、モスクワ生まれのドイツの指揮者。父は指揮者のミハイル・ユロフスキ、祖父は作曲家で同名のウラディーミル・ユロフスキ。18歳でドイツに移住。音楽を学び、各地の歌劇場などで経験を積む。その後2001年グラインドボーン音楽祭の音楽監督に就任し、数々の上演を行う。2007年ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者に就任。ロシア・ナショナル管弦楽団の首席客演指揮者やエイジ・オブ・エンライトメント管弦楽団の指揮者も務める。2011年10月、舌禍により解任されたゴレンシテインの後任としてロシア国立交響楽団の芸術監督に就任した。2017年10月にロンドン・フィルハーモニー管弦楽団と共に来日し、ツアー公演を行った。
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ベルリン放送交響楽団(独: Rundfunk-Sinfonieorchester Berlin,英語: Berlin Radio Symphony Orchestra)は、ドイツの首都ベルリンに本拠を置くオーケストラである。略称はRSB。1923年に設立された。第二次世界大戦後は東ベルリン側に属し、DDRラジオ放送局(Rundfunk der DDR)の放送オーケストラとなった。ドイツ再統一後の1994年にRIAS室内合唱団、ベルリン放送合唱団、ベルリン・ドイツ交響楽団、ベルリン放送交響楽団の4団体を所有する有限会社(GmbH)である"Rundfunk Orchester und Chöre GmbH Berlin"が設立され、その傘下となった。主にベルリン・フィルハーモニーおよびベルリン・コンツェルトハウスで演奏会を行っている。
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ダイナミックレンジの大きな録音で、スポットマイクは多用していないと思われ、コンサートホールの中ほどで聴く音に近い。音像は左右、奥行き方向にも広がっている。特に金管のきらびやかな響きが印象に残った。サラウンドスピーカーからの音には直接音がかなり入っている。録音はベルリン放送局本館(Haus des Rundfunsk(rbb))で行われたが、オルガン・パートのみ、ベルリンの聖マティアス教会で収録され、ミキシングされている。

サラウンド・パフォーマンス  ☆☆☆☆
音質             ☆☆☆☆
チャンネル          5ch

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