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SACDサラウンド・レビュー(868) [サラウンド・サウンド・レビュー]

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Beethoven
Complete Piano Trios Vol.5
CC72801
Van Baerle Trio
Jan Willem de Vriend/Residentie Orkest The Hague
録音 2019年11月,12月
Challenge Classics


ベートーヴェン:ピアノ三重奏曲全集 Vol.5
・ピアノ、ヴァイオリン、チェロと管弦楽のための三重協奏曲 ハ長調 Op.56
・ピアノ三重奏曲第8番 変ホ長調 Op.38(七重奏曲 変ホ長調 Op.20からの編曲)

ピアノ、ヴァイオリン、チェロと管弦楽のための協奏曲 ハ長調 作品56は、ベートーヴェンが1803年から1804年にかけて作曲した。通常は三重協奏曲と略して呼ばれる。ヴァイオリンソナタ第9番『クロイツェル』、ピアノソナタ第21番『ワルトシュタイン』、ピアノソナタ第23番『熱情』、交響曲第3番『英雄』などが書かれた時期の作品であるが、今日ではあまり評価が高くない。物足りないと感じさせる理由は,ピアノ三重奏とオーケストラを組み合わせた点にある、とも言われている。3楽章から成り、演奏時間は約35分。


ファン・ベーレ・トリオ(Van Baerle Trio)は2004年にピアニストのハンネス・ミンナール(Hannes Minnaar)、ヴァイオリニストのマリア・ミルシテイン(Maria Milstein)、チェリストのギデオン・デン・ヘルデール(Gideon den Herder)によって創設されたピアノ・トリオ。ファン・ベーレはオランダのアムステルダムにある通りの名前に因んでいる。3名はアムステルダム音楽院(Conservatorium van Amsterdam)学んでいた時に出会い、2011年のConcertgebou Vriendenkrans Competitionに優勝後はヨーロッパ各地で活躍している。
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ヤン・ヴィレム・デ・フリエンド(Jan Willem de Vriend,1963年~ )はオランダの指揮者。ヴァイオリニストとしても超一流の実力を誇っている。近年では指揮者としての名声が欧米諸国を中心にますます高まっている。2006年からネザーランド交響楽団の首席指揮者兼、芸術監督を務めている。2015年からはハーグ・レジデンティー管弦楽団の常任指揮者に就いている。
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ハーグ・レジデンティー管弦楽団(Residentie Orkest The Hague)はオランダの名指揮者ヘンリ・ヴィオッタによって1904年に創立された。1911年のリヒャルト・シュトラウス・フェスティバルにおいてシュトラウス自身が彼の作品を指揮し、その後もストラヴィンスキー、レーガー、ラヴェル、ヒンデミット等の作曲家を招聘している。1949年から1973年までの長きにわたり、ウィレム・ヴァン・オッテルローが首席指揮者、音楽監督をつとめ、このオーケストラの水準を大きく向上させた。オッテルローの指揮により、フィリップスやコンサート・ホール・ソサエティ等に多くの音源が残されている。その後、ライトナー、スヴェトラーノフ等が後を継ぎ、2005年より2012年までネーメ・ヤルヴィが首席指揮者をつとめた。
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ファン・ベーレ・トリオによるベートーヴェンのピアノ三重奏曲全集Vol.4に続く第5弾。協奏曲ではバックのオーケストラと比べソロの楽器は前に出た奥行き感のある録音で、ナチュララルな響きを伴っている。各ソロ楽器間の音のバランスは良い。サラウンドスピーカーからの音にはソロ楽器の直接音がかなり入ってる。


サラウンド・パフォーマンス  ☆☆☆☆
音質             ☆☆☆☆☆
チャンネル          5.1ch

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SACDサラウンド・レビュー(867) [サラウンド・サウンド・レビュー]

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Franck
Symphony in D minor & Symphonic Variations
PTC5186771
Denis Kozhukhin(Piano)
Gustavo Gimeno/Orchestre Philharmonique du Luxembourg
録音  2019年7月(Symphony)
    2019年11月(Symphonic Variations) 
Pentatone

セザール・フランク:
・交響曲 ニ短調
・交響的変奏曲~ピアノとオーケストラのための

デニス・コジュヒン(Denis Kozhukhin,1986年~)はロシアのニージニー・ノヴゴロド生まれのピアニスト。最初は母親からピアノのレッスンを受けた後、バラキレフ音楽学校で学び、14歳でディプロマを取得。23歳の2010年5月、圧倒的な評価を得て、エリザベート王妃国際音楽コンクールで優勝。これまでにマルタ・アルゲリッチ・プロジェクト、サハロフ音楽祭、パロマ・オシア夏季音楽祭、ルール・クラヴィーア音楽祭、ルーブル美術館オーディトリアム・シリーズ、プレステージ・シリーズ、などに招かれており、特に2003 年のヴェルビエ音楽祭・アカデミーではロイター財団賞を受賞し、翌年の同音楽祭でデビュー・リサイタルを開催した。2011年初来日、最近では2017年9月に来日し、N響第1865回定期公演 Cプログラムにてラフマニノフのピアノ協奏曲第4番を弾いた。
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グスターボ・ヒメノ(Gustavo Gimeno,1976年 ~ )は、スペインの指揮者、打楽器奏者、室内楽奏者、音楽教師。2001年に、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の首席打楽器奏者に就任した後、さらなる研鑽のためアムステルダム音楽院で指揮を学ぶ。アムステルダム交響楽団コン・ブリオ(Amsterdams Symphonie Orkest Con Brio)の指揮者を経て、2012年より、アムステルダム管弦楽団のアーティスティック・リーダーおよび首席指揮者に就任する。2012年~2013年シーズンと、2013年~2014年シーズンにロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団で、マリス・ヤンソンスの副指揮を務める。2013年には、クラウディオ・アバドやベルナルト・ハイティンクの副指揮も務めた。2015年に、ルクセンブルク・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者に就任。
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ルクセンブルク・フィルハーモニー管弦楽団(仏:Orchestre philharmonique du Luxembourg, 独:Philharmonisches Orchester von Luxemburg)は、ルクセンブルク市で設立されたオーケストラである。かつてはルクセンブルク放送管弦楽団(仏:Grand orchestre symphonique de RTL)を名乗った。1933年にアンリ・ペンシス(Henri Pensis)を首席指揮者に据えて発足するも、1939年に政治的な理由でいったん解散した。1996年からルクセンブルク放送局が運営を打ち切ったが、ルクセンブルク政府が基金を作ってオーケストラ運営を支援することになり、現行の名称で存続することとなった。
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メインマイクの他にスポットマイクを適所に配置したと思われる録音で、低域弦の重厚さと金管のきらびやかな響きが印象に残った。サラウンドスピーカーからの音はアンビエンスがメインだが、直接音も聴こえる。録音場所はベルギー、Philharmonie Luxembourg

サラウンド・パフォーマンス  ☆☆☆☆
音質             ☆☆☆☆
チャンネル          5ch

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SACDサラウンド・レビュー(866) [サラウンド・サウンド・レビュー]

Mozart Haffner Serenade & Ein musikalischer Spaß.jpg
Mozart
Haffner Serenade & Ein musikalischer Spaß
BIS2394
Alexander Janiczek (violin)
Michael Alexander Willens/Kölner Akademie
録音 2018年5月
BIS

モーツァルト:
・行進曲 ニ長調 K.249
・セレナード第7番 ニ長調 「ハフナー」 K.250
・音楽の冗談 K.522

アレクサンダー・ヤニチェク(Alexander Janiczek)はポーランドとチェコの血を引く音楽一家に生まれのオーストリアのヴァイオリンニスト、指揮者。オーストリアのザルツブルグにあるモーツァルテームにてHelmut Zehetmair教授にヴァイオリンを学んだ。ハンガリー人の名ヴァイオリニストであったシャーンドル・ヴェーグが芸術監督をしていたカメラータ・ザルツブルクでコンサート・マスターを務めていた。現在ヨーロッパ室内管管弦楽団、カメラータ・ザルツブルクのゲスト・ディ レクターとしても活躍している。
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ミヒャエル・アレクサンダー・ヴィレンズ(Michael Alexander Willens,1952年10月~)はアメリカの指揮者。ジュリアード音楽院にて指揮をジョン・ネルソン(ジュリアード音楽院)、レナード・バーンスタイン(タングルウッド)などに学ぶ。リンカーンセンターのグレート・パフォーマーズ・シリーズやドイツ、オーストリア、フランス、スペイン、イタリアなどの主要な音楽祭に出演。ケルン・アカデミーの音楽監督。
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ケルン・アカデミー(Kölner Akademie)は指揮者のミヒャエル・アレクサンダー・ヴィレンズによって、1996年に創設されたドイツのケルンを拠点とするオーケストラ。レパートリーは17世紀から21世紀までの音楽で、それらの作品をその時代の演奏解釈のもとに時代に合った楽器(バロック、クラシックなど)を使い分ける。歴史的研究を追求し、作曲家の意図を引き出すことを心がけるその演奏は新鮮で自然に聴こえ、作品の本来の姿を生き生きと響かせる。 2013年5月にフォルテ・ピアノのロナルド・ブラウティハム、ヴィレンズと共に来日し、モーツアルトのピアノ協奏曲などを演奏した。
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室内楽用のホールでの演奏であるが、ホールトーンを感じる録音になっており、音響空間は左右、奥行方向にも広がっている。高域弦は伸びが有り、ナチュラルな響きをしている。サラウンドスピーカーからの音はアンビエンスがメイン。録音場所はケルン、ドイツ放送室内楽ザール(Deutschlandfunk Kammermusiksaal,Köln)

サラウンド・パフォーマンス  ☆☆☆☆
音質             ☆☆☆☆
チャンネル          5ch

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SACDサラウンド・レビュー(865) [サラウンド・サウンド・レビュー]

Shostakovich symphony No.11 'The Year 1905'.jpg
Shostakovich
symphony No.11 'The Year 1905'
CHSA5278
John Storgårds/BBC Philharmonic
録音 2019年8月
Chandos

ショスタコーヴィチ:交響曲第11番 ト短調 「1905年」 Op.103

ジョン・ストルゴーズ(John Storgårds,1963年10月~)はフィンランド、ヘルシンキ生まれの指揮者、ヴァイオリニスト。ヘルシンキのシベリウス・アカデミーにてヴァイオリンをエッサー・ライティオ(Esther Raitio )と、ヨウコ・イグナティウス(Jouko Ignatius)に教えを受ける。その後指揮に興味を持ち1993年~1997年の間、シベリウス・アカデミーにて(Jorma Panula)や( Eri Klas)に指揮法の指導を受ける。2003年からヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団(Helsinki Philharmonic Orchestra)の首席客演指揮者に就き、2008年秋のシーズンからは首席指揮者に就任した。又、2006年から2009年までタンペレ・フィルハーモニー管弦楽団(Tampere Philharmonic Orchestra)の首席指揮者を歴任。アヴァンティ室内管弦楽団(Avanti! Chamber Orchestra)の創設メンバーの一人。2012年からBBCフィルハーモニックの首席客演指揮者に就任した。
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BBCフィルハーモニック(BBC Philharmonic)は、英国放送協会(BBC)傘下にある5つのオーケストラ一つであり、イギリスのマンチェスターを拠点とする。主要コンサート会場はマンチェスターのブリッジウォーターホール。BBC交響楽団( BBC Symphony Orchestra)とは別の団体で、BBCの組織下にはこれ以外にもBBCウェールズ交響楽団(BBCウェールズ・ナショナル管弦楽団)、BBCスコティッシュ交響楽団ならびにBBCコンサート・オーケストラがある。1926年に2ZYオーケストラとして設立されたものが始まりと言われている(“2ZY”は、当時マンチェスターに開局されたラジオ局のコールサイン)。1991年、BBCフィルハーモニックと改名して、サー・ピーター・マクスウェル・デイヴィスが最初の常任指揮者兼楽団付き作曲家に就任した。ジャナンドレア・ノセダ(Gianandrea Noseda)が2002年から2011年まで首席指揮者、現在は名誉指揮者に就任している。2011年9月よりファンホ・メナ(Juanjo Mena)が首席指揮者に就いている 。最近では東日本大震災直前の2011年3月初旬に来日公演を行った。
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1楽章の途中で2か所に遠くから聞こえるトランペットの音があるが、当初はホワイトノイズのような音が入ったトランペットと思ったが、聞き返してみると雨の音のようだ。同時に録音したのか、雨が降った別の日に録音し、ミキシングしたのか?
ダイナミックレンジの大きな録音で、音響空間は左右、奥行方向にも広く、コンサートホールの中ほどで聴く音に近い。ちなみに、レコード芸術6月号では94点、stereo誌6月号では95点の録音評価を得ている。

サラウンド・パフォーマンス  ☆☆☆☆
音質             ☆☆☆☆☆
チャンネル          5ch

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