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SACDサラウンド・レビュー(750) [サラウンド・サウンド・レビュー]

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Bach & Telemann
CCSSA27208
Florilegium
録音 2007年8月
Channel Classics

テレマン:ターフェルムジーク第1集より協奏曲イ長調
J.S.バッハ:
・カンタータ第209番「悲しみのいかなるかを知らず」BWV.209
・三重協奏曲イ短調BWV.1044

J.S.バッハの三重協奏曲イ短調(BWV.1044)はフルート、ヴァイオリンとチェンバロのための三重協奏曲で「フルート、ヴァイオリンとチェンバロのための協奏曲」と表記されることもある。この三重協奏曲は、1729年以降の1738年から1740年頃に作曲されたと推定されているが、自筆譜は紛失し、筆写譜も欠落している部分があるため、作曲の動機や実態は不明である。しかし、この作品もチェンバロ協奏曲などと同じように編曲であり、第1楽章と第3楽章はチェンバロ独奏の「前奏曲とフーガ イ短調 BWV894」の旋律が用いられ、第2楽章はオルガンのための「トリオ・ソナタ第3番 ニ短調 BWV527」の第2楽章の旋律が用いられている。このことから編曲であることが窺える。


ルーシー・クロウ(Lucy Crowe)はイギリスのソプラノ歌手。王立音楽アカデミーのオペラ・コースに学ぶ。2002年度ロイヤル・オーバーシーズ・リーグ音楽コンクールの金メダルを獲得。デイヴィッド・ウィルコックス指揮のヘンデル「メサイア」や、BBCプロムス2003に出演。
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ロドルフォ・リヒター(Rodolfo Richter)はイギリスのヴァイオリン奏者。王立音楽アカデミーにてバロック・ヴァイオリンをモニカ・ハジェットに師事。2002年から2007年までイギリスの古楽四重奏団パラディアン・アンサンブルのメンバー。
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フロリレジウム(Florilegium)は「音楽の花束」と言う名称を冠したロンドンを本拠地とする古楽アンサンブル。1991年にチェンバリストの(Neal Peres Da Costa)とフルート奏者のアシュリー・ソロモン(Ashley Solomon)によって設立された。現在アシュリー・ソロモンが監督に就いている。ヴィオラ・ダ・ガンバ奏者として日本人の市瀬礼子が参加している。女流バロック・ヴァイオリニストのレイチェル・ポッジャーもかつては参加していた。アシュリー・ソロモンはイギリスを代表するフルートとリコーダーの名手で、英国王立音楽院(RCM)の歴史的演奏部門長(Chair and Headof Historical Performance)とリコーダーの教授を務めている。
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各楽器間の音のバランスは良い。高域弦は透明感のある、低域弦は豊かな響きを伴っている。音場は左右への広がりを感じる。サラウンドスピーカーからの音はアンビエンスな音がメインだが、直接音も捉えている。録音場所はロンドン、ハイゲート、聖ミカエル教会。

サラウンド・パフォーマンス  ☆☆☆☆
音質             ☆☆☆☆
チャンネル          5ch

SACDサラウンド・レビュー(749) [サラウンド・サウンド・レビュー]

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Grand Tour
Baroque Road Trip
PTC5186668
Simon Murphy/New Dutch Academy
2016年3月、10月
PentaTone Classics

ヘンデル:歌劇「アルチーナ」より「帰ってきて、喜ばせて」
テレマン:ヴィオラ、弦楽と通奏低音のための協奏曲ト長調
ヴィヴァルディ:リュート、弦楽と通奏低音のための協奏曲ニ長
J.S.バッハ:ブランデンブルク協奏曲第6番変ロ長調 BWV.1051
ヴァッセナール(伝ペルゴレージ):弦楽合奏曲集「コンチェルト・アルモニコ第1番」
ヴィヴァルディ:フルート、弦楽と通奏低音のための協奏曲ハ長調 RV.443
ヘンデル:歌劇「アレッサンドロ」より「なにかしらまた分からない」



ユニコ・ヴィルヘルム・ファン・ヴァッセナール・オブダム伯爵(Unico Wilhelm rijksgraaf van Wassenaer Obdam, 1692年11月~1766年11月)は、オランダの貴族、アマチュア作曲家。その作品「コンチェルト・アルモニコ」は、最近まで誤ってジョヴァンニ・ペルゴレージ作曲と伝えられてきた。オランダの軍人の子としてデルデンで生まれた。ライデンで法学などを学び、1723年に貴族の女性と結婚し、3人の子をもうけた。1725年から1740年の間に「コンチェルト・アルモニコ」を作曲するが、貴族であったため、自らの名を冠して出版することを望まなかった。

ミルシニ・マルガリティ(Myrsini Margariti)はギリシャ、ラリッサ生まれのソプラノ歌手。ヴァイオリンと声楽を国立アテネ音楽院、音楽学をアテネ大学にて学ぶ。その後、ザルツブルグ・モーツァルテウム音楽院にてエリザベス・ウィルケ(Elisabeth Wilke)教授とグドゥルン・フォルケルト(Gudrun Volkert)教授に師事した。
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サイモン・マーフィー(Simon Murphy,1973年8月~)はオランダを中心に活躍するオーストラリア出身の指揮者、ビオラ奏者、音楽学者。シドニー大学を卒業後、シドニー交響楽団にてDavid Porcelijnやハンス・フォンク(Hans Vonk)に師事し指揮者として研鑽を積んだ。1996年からはオランダに渡り古楽の若手指揮者として活躍している。 新オランダ・アカデミー室内管弦楽団(New Dutch Academy)の指揮者、音楽監督を兼任している。

新オランダ・アカデミー室内管弦楽団(New Dutch Academy)略称NDAは、オランダのハーグを拠点とした2002年創立の古楽の演奏に特化したグループ。古楽器を使用し、18世紀の音楽を中心に演奏しており、国際賞も受賞している。指揮と音楽監督にはサイモン・マーフィーが就いている。

ヴァッセナールの弦楽合奏曲集ではビオラ奏者の朝吹園子がヴァイオリンで参加している。
各楽器の音のバランスは良く、高域弦は音の伸びが有り、低域弦は豊かな響きを伴っており、好録音。ヴィヴァルディのRV.443ではソプラノ・リコーダの響きが美しい。サラウンドスピーカーからの音はほぼ直接音が占める。録音場所はオランダ、デン・ハーグ、ゴシック・ホール

サラウンド・パフォーマンス  ☆☆☆☆
音質             ☆☆☆☆☆
チャンネル          5ch