SSブログ

SACDの音声圧縮方式(DST)について [オーディオ]

Direct Stream Transfer(DST)はオランダのフィリップスが開発したMPEG-4 オーディオ(MPEG-4 Part 3)の一部として規格化されたロスレス音声圧縮方式であり、ISO/IEC 14496-3 Subpart 10 で定義されている。

ハイブリッド仕様のディスクの2層ある内のSACD層の音声信号はDSD(Direct Stream Digital)の名称で呼ばれるオーバーサンプリングされた1ビットオーディオ信号で、CD の 64 倍である 2.8224 MHz のサンプリング周波数が使用される。このサンプリング周波数で 2ch ステレオ信号と 5.1ch マルチチャネル信号の両方を 4.7 ギガバイトのディスクに格納するには容量が不足するため、圧縮が必要になる 。
DST 方式はこのような場合に使用され、音楽などの一般的なオーディオ信号を 1/2 ~ 1/3 程度に圧縮(エンコード)することができ、スーパーオーディオCDに記録された信号は再生時にはプレーヤーによって解凍(デコード)されて再生される。コンテンツが2chステレオとマルチチャンネルの両方ある場合には、ともに圧縮をかけることが原則であるが、収録時間に余裕があるケースでは2chステレオのみ圧縮をかけなくても構わない。

DST の符号化はフレーム化、線形予測、エントロピー符号化の3段階で行われる。
フレーム化では符号化の処理対象となる各チャネルの信号をそれぞれ 1/75 秒(2.8224 MHz のサンプリング周波数で 37632 ビット)単位に分割する。符号化の処理はこのフレーム単位で行う。 フレーム単位の符号化により再生時のランダムアクセスが容易になり、また線形予測が行いやすくなる。続いて線形予測フィルターを用い、線形予測の残差信号を求める。符号化のアルゴリズムとしては、エントロピー符号化の一種である算術符号化(arithmetic coding)を用いる。

この圧縮方式を使用しないでシングルレイヤーのメディアにHD規格で2ch非圧縮ステレオ音源を記録したものにSHM仕様のSHM-CD (Super High Material CD) やオクタヴィア・レコードのHQ-SACD(High Quality Super Audio Compact Disc)がある。

nice!(11)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 11

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0