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SACDサラウンド・レビュー(477) [サラウンド・サウンド・レビュー]

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Prokofiev, Tcherepnin, Crumb
CCS SA 27909
Pieter Wispelwey (cello)
Vassily Sinaisky/Rotterdam Philharmonic Orchestra
録音 2007年11月(Prokofiev)DSD Recording 
    2008年12月(Tcherepnin, Crumb)
Channel Classics

プロコフィエフ:チェロと管弦楽のための「交響協奏曲」ホ短調 Op.125
チェレプニン:無伴奏チェロのための組曲
クラム:無伴奏チェロのためのソナタ

チェロと管弦楽のための「交響的協奏曲」作品125は、セルゲイ・プロコフィエフが1951年から1952年にかけて作曲した作品で、2作目のチェロ協奏曲である。プロコフィエフはその後、「チェロ小協奏曲」の作曲にも着手したが、これは未完に終わった。この協奏曲が「チェロ協奏曲第2番」とされなかった理由はいくつか考えられるが、最も大きなものとしては、これが「チェロ協奏曲第1番」作品58を改作したものであるという点が挙げられる。実際、楽曲の構成、主要主題は旧作と同じものによっているが、結果としては大きく異なる大曲に仕上がっている。また、管弦楽が交響的要素を強めている点も題名に反映されたと言える。初演者であり、改作にも協力したムスティスラフ・ロストロポーヴィチに献呈されている。3楽章からなり、楽章の構成と配置は基本的に協奏曲第1番と同一であるが、全曲で約38分に拡大されている。

アレクサンドル・ニコラエヴィチ・チェレプニン(Alexander Nikolayevich Tcherepnin、1899年1月~1977年9月)は、ロシア、サンクトペテルブルク生まれの作曲家、ピアニスト。父は作曲家のニコライ・チェレプニン(1873年~1945年)、三男は作曲家・シンセサイザー開発者のイワン・チェレプニン(1943年~1998年)。5歳で父から音楽を教わる。父がバレエ・リュスの指揮者だったおかげで多くの音楽家たちの薫陶を受ける。18歳でサンクトペテルブルク音楽院に入学。ロシア革命後の1918年、チェレプニン一家はグルジア経由でパリへ亡命。アレクサンドルは本格的に作曲家・ピアニストとしての活動を始め、モーリス・ラヴェル、イーゴリ・ストラヴィンスキー、フランス6人組などと親交を持つ。
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ジョージ・クラム(George Crumb, 1929年10月~)はアメリカ合衆国の現代音楽の作曲家、音楽教育者。ウェストヴァージニア州のチャールストン出身。少年時代から作曲を始める。イリノイ大学で音楽を学んだ後、ベルリンに短期留学してから帰国し、ミシガン大学で1959年に博士号を取得した。ベルリンではボリス・ブラッハーの指導を受けている。ヴァージニア州の大学に就職したのを手始めに、1958年にはコロラド大学でピアノと作曲の教授に就任し、1965年から長らくペンシルヴァニア大学の教壇に立った。1983年にはアネンバーグ大学の人類学教授を務めている。1997年に教職を退いたが、2002年の初めに、アリゾナ州立大学の教官として返り咲いた。この間も作曲を続けている。音色の探究や特殊奏法の徹底的な開発で知られ、弦楽器やフルートを喋りながら演奏させることで有名。神秘主義的・悪魔主義的な創作姿勢をとることから、その作風にスクリャービンやメシアンの精神的末裔を見出す評価もある。比較的小編成の室内楽が多く、大規模な管弦楽作品などは少数である。
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ピーター・ウィスペルウェイ(Pieter Wispelwey,1962年9月~)はオランダのハールレム生まれのチェリスト。アンナー・ビルスマに師事した後、アメリカにてポール・カッツ、イギリスにてウィリアム・プーリスに学ぶ。1985年、オランダで最も将来性のある演奏家に2年に一度与えられるエリザベス・エヴァーツ賞を、92年にはオランダ最高のオランダ音楽賞を受賞。 使用楽器は、1760年製のチェロ「Giovanni Battista Guadagnini」、および1710年製のバロック・チェロ「Rombouts」。
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ヴァシーリィ・セラフィーモヴィチ・シナーイスキィ(Vassily Serafimovich Sinaisky, 1947年4月~)は、ロシアの指揮者、ピアニスト。レニングラード音楽院にてイリヤ・ムーシンに指揮法を師事し、モスクワ・フィルハーモニー管弦楽団でキリル・コンドラシンの助手として指揮活動に入った。1973年に西ベルリンのカラヤン・コンクールで金メダルを受賞した。1991年から1996年までモスクワ・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者に就任した。また、ラトビア交響楽団の首席指揮者やオランダ・フィルハーモニー管弦楽団の首席客演指揮者にも就任している。ロシア国立交響楽団の音楽監督にも任命され、2002年まで在任した。2007年1月から2011年までマルメ交響楽団の首席指揮者、2010年から2013年までボリショイ劇場の音楽監督を務めた。
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ロッテルダム・フィルハーモニー管弦楽団(蘭:Rotterdams Philharmonisch Orkest)は、オランダ・ロッテルダムに本拠を置くオーケストラである。創立は1818年であり、アマチュアのオーケストラとしてスタートした。初代の首席指揮者はヴィレム・フェルツァー。1930年から1962年までエドゥアルド・フリプセが首席指揮者をつとめ、このオーケストラの特色である切れの良いアンサンブルを定着させた。以後、主な歴任者としてジャン・フルネ、エド・デ・ワールト、デイヴィッド・ジンマン、ジェームズ・コンロン、ジェフリー・テイトなどがおり、1995年から2008年までヴァレリー・ゲルギエフ、2008年よりヤニック・ネゼ=セガンがその任を引き継いでいる。
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交響的協奏曲ではソロのチェロの中低域の響きが豊で、バックの低弦の響きも厚みのある音をしている。こちらはライヴ録音であるが聴衆のノイズは消されている。トラック4以降のチェロの無伴奏では、より緻細な音まで拾っており、こちらの録音の方が良いように感じた。サラウンドスピーカーからの音はアンビエンスがメイン。

サラウンド・パフォーマンス ☆☆☆
音質               ☆☆☆☆
チャンネル           5ch

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