SSブログ

SACDサラウンド・レビュー(782) [サラウンド・サウンド・レビュー]

Korngold Violin Concerto.jpg
Korngold
Violin Concerto
CC72755
Liza Ferschtman (violin)
Jiri Malat/Prague Symphony Orchestra
Christian Vasquez/Het Gelders Orkest
録音   2017年11月(Korngold)
     2017年6月(Bernstein)
Challenge Classics

・コルンゴルト:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 Op.35
・バーンスタイン:セレナード ~プラトンの『饗宴』による

エーリヒ・ヴォルフガング・コルンゴルト(Erich Wolfgang Korngold, 1897年5月~1957年11月)は、モラヴィア地方(現在はチェコ)のブリュン生まれのユダヤ系の作曲家。オーストリアとアメリカ合衆国で活躍した。11歳の時に作曲したバレー・パントマイム「雪だるま」はウィーンでセンセーションを引き起こし、21歳の作品であるオペラ「死の都」は当時有数の上演回数を誇った。当時コルンゴルトはマーラーやR・シュトラウスの後継となる作曲家と目されていた。コルンゴルトの才能は特に劇場音楽の分野で発揮されたが、 こうした才能に注目した演出家のマックス・ラインハルトの誘いを受けて、彼はアメリカへ渡り映画音楽に手を染めることになる。1938年に故国オーストリアがナチス・ドイツに併合されると、ユダヤ人であったコルンゴルトはハリウッドで映画音楽に専念するしかなく、20本の映画に音楽をつけ、その後のハリウッド映画の華麗なオーケストラ・サウンドの礎を築いた。「風雲児アドヴァース」(1936)と「ロビン・フッドの冒険」(1938)ではアカデミー作曲賞を受賞している。演奏される機会の多いヴァイオリン協奏曲は、20世紀の名曲のひとつ。


セレナード(Serenade )はレナード・バーンスタインが1954年に作曲した演奏会用作品。正式な題名は『ヴァイオリン独奏、弦楽、ハープと打楽器のためのセレナード(プラトンの『饗宴』による)』(Serenade for Solo Violin, Strings, Harp and Percussion (after Plato's "Symposium") )で、一種のヴァイオリン協奏曲になっている。正式な題名にあるように、プラトンの『饗宴』に着想を得て作曲された。ミュージカル以外ではバーンスタインの作品中、最もよく演奏されるものの一つである。クーセヴィツキー財団の委嘱によって作曲され、初演は1954年にヴェネツィアで、アイザック・スターンのヴァイオリン、バーンスタインの指揮で行われた。編成的に似通ったバルトークの『弦楽器と打楽器とチェレスタのための音楽』のような響きや雰囲気が感じられる部分がある一方、バーンスタインならではの躍動感やジャズ的な雰囲気、ユーモアも感じさせる。ベートーヴェンの交響曲第5番のオーボエの引用が入っていることでも有名。演奏時間は約30分。

リザ・フェルシュトマン(Liza Ferschtman,1979年~)はオランダのヴァイオリニスト。ロシア系の音楽一家に生まれ、ハーグの王立音楽院とフィラデルフィアのカーチス音楽院で学んだ。2006年、オランダで最も権威ある「オランダ音楽賞」を受賞。ユニークなプログラムと、聴き手にダイレクトに語りかける独特の演奏スタイルで人気を博している。ヘルマン・クレッバース(F.P.ツィンマーマンらの師匠)のもとで研鑽を積む。世界の名だたるオーケストラと共演しているほか、今井信子やエンリコ・パーチェらと、室内楽での共演も重ねている。
Liza Ferschtman_4.jpg


イジー・マラート(Jiří Malát)はチェコ、プラハ出身の指揮者。 プラハ芸術大学(Academy of Performing Arts in Prague)にてヴァラク・ノイマン(Václav Neumann)に師事。1981年卒業後、ピルセン・オペラハウス(J. K. Tyl Theatre)の指揮者に就任。1985年には、ピルセン放送交響楽団(Pilsen Radio Orchestra)の指揮者、後にオストラヴァのヤナーチェク・フィルハーモニー管弦楽団(Janáček Philharmonic Orchestra)、1988年にプラハの国立歌劇場の指揮者に就任。
Jiri Malat_1.jpg


クリスチャン・ヴァスケス(Christian Vasquez,1984年~)ベネズエラ、カラカス生まれの指揮者、ヴァイオリニスト。9歳でヴァイオリンを学び始め、2001年からJoséAntonio Abreuに師事した。 2005年、シンフォニカ・ユヴェンユ・デ・アラグア・ホセ・フェリックス・リバス(JoséFelix Ribas Juvenile Symphony Orchestra of Aragua)の音楽監督に就任。 2009年にはロサンゼルス・フィルの指揮者グスタボ・ドゥダメルに指名されて、ベネズエラのテレサ・カレーニョユースオーケストラの音楽監督に就任。2010年3月にスタヴァンゲル交響楽団(Stavanger Symphony Orchestra、略称SSO)と共演し、2013年から2014年のシーズンから4年間の契約で音楽監督に就任することになった。2015/16シーズンには、アーネム・フィルハーモニー管弦楽団のプリンシパル・ゲスト指揮者に就任。
Christian Vasquez_1.jpg


プラハ交響楽団(Prague Symphony Orchestra)は、チェコプラハを本拠とするオーケストラである。1934年にFOK交響楽団として設立。FOKとはFilm-Opera-Koncertの略で、設立当初は映画音楽を中心的に行っていた。1952年にプラハ市公認オーケストラとなり、現在の楽団名を採用。音楽監督を置かず演奏活動を行っているが、セルジュ・ボドに名誉指揮者の称号を贈っている。2014年シーズンからフィンランド出身のピエタリ・インキネンが首席指揮者に就任した。

アーネム・フィルハーモニー管弦楽団(蘭Het Gelders Orkest, 英Arnhem Philharmonic Orchestra)はオランダの東部地区を代表するオーケストラ。1889年創立以来100年以上の歴史を誇る名門オーケストラで、オランダで最初にマーラーを演奏したオーケストラとして知られている。小林研一郎が2006年から2007年のシーズンに常任指揮者になり、2007年には初めて日本を訪れた。

収録はワンポイントマイクをメインとしたと思われる、ソロのヴァイオリンは前に出て、オーケストラは後ろに下がった奥行き感のある音場になっており、コンサートホールの中ほどで聴く音に近い。サラウンドスピーカーからの音は直接音がメインだが、低めに抑えられている。

サラウンド・パフォーマンス  ☆☆☆☆
音質             ☆☆☆☆
チャンネル          5.1ch

nice!(4)  コメント(0)