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SACDサラウンド・レビュー(826) [サラウンド・サウンド・レビュー]

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J.S.Bach
Cello Suites
CCSSA 41119 (2 Discs)
Rachel Podger(violin)
録音 2018年
Channel Classics


J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲(全曲/ヴァイオリン版)
・無伴奏チェロ組曲第1番ト長調 BWV.1007
・無伴奏チェロ組曲第2番ニ短調 BWV.1008
・無伴奏チェロ組曲第3番ハ長調 BWV.1009
・無伴奏チェロ組曲第4番変ホ長調 BWV.1010
・無伴奏チェロ組曲第5番ハ短調 BWV.1011
・無伴奏チェロ組曲第6番ニ長調 BWV.1012

レイチェル・ポッジャー(Rachel Podger,1968年~)はイギリス生まれのヴァイオリニスト。ドイツのルドルフ・シュタイナー・スクールで教育を受け、帰国後ギルドホール音楽演劇学校でミカエラ・コンバーティとデイヴィッド・タケノに師事した。在学中からバロック奏法に興味を惹かれ、バロック音楽を専門とするフロレジウムとパラディアン・アンサンブルという楽団の創設に関与する。その後も、このアンサンブルとコンサート・ツアーやレコーディングに参加し、国際的にも高く評価されている。1997年、トレヴァー・ピノックに招かれ、イングリッシュ・コンサートのコンサートミストレス兼協奏曲ソリストに就任、ますます多忙な日々となった。2015年に英国王立音楽院(RAM)のバッハ賞を受賞。最近では2018年6月~7月開催の調布国際音楽祭2018に来日し、バッハの無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番などを演奏した。
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メインマイクとVnとの間の距離感の無い録音で、録音レベルは大きめだがヴァイオリンのナチュラルな音を再現している。製造上のディスク個別の原因と思われるが、Disc1のトッラク1の最後の部分、トラック3の冒頭の部分のマルチチャンネルのサラウンド・ライトにノイズが乗っている。使用ヴァイオリンはペザリニウス1739年製で、一部の低音フレーズ(第6番)では、ヴィオラのC弦も使用しているらしい。録音場所はロンドン、王立音楽アカデミー

サラウンド・パフォーマンス  ☆☆☆
音質             ☆☆☆☆☆
チャンネル          5ch

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SACDサラウンド・レビュー(825) [サラウンド・サウンド・レビュー]

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Schubert
Early Symphonies and Stage Music
PTC 5186655 (2 Discs)
Lawrence Foster/ Copenhagen Philharmonic
録音 2017年10月
Pentatone


フランツ・シューベルト:
・交響曲第1番 ニ長調 D82
・交響曲第2番 変ロ長調 D125
・交響曲第3番 ニ長調 D200
・イタリア風序曲 第1番 ニ長調 D590
・劇付随音楽「ロザムンデ」(キプロスの女王ロザムンデ) D797より

ローレンス・フォスター(Lawrence Foster,1941年10月~)は、アメリカ合衆国の指揮者。 カリフォルニア州ロサンゼルスでルーマニア系の両親の元に生まれる。ズービン・メータの下でロサンジェルス・フィルハーモニックの副指揮者として研鑽を積んだ後タングルウッド音楽センターで学び、1966年にクーセヴィツキー賞を受賞する。以後NHK交響楽団を始め、モンテカルロ・フィルハーモニー管弦楽団やフランクフルト放送交響楽団、北ドイツ放送交響楽団など様々なオーケストラの指揮者を歴任。2012年よりマルセイユ・フィルハーモニー管弦楽団の音楽監督に就任。
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コペンハーゲン・フィルハーモニー管弦楽団(Copenhagen Philharmonic Orchestra)はデンマークのコペンハーゲンを本拠地として活動するオーケストラ。1843年に実業家のゲオ・カルステンセン(Georg Carstensen)によるチボリ公園の開園に対して、作曲家で楽長となったハンス・クリスチャン・ロンビ(Hans Christian Lumbye)に公園の音楽を担当するよう依頼したのが始まりで、それ以来、夏の期間にチボリ公園内に在るチボリ・コンサート・ホールを本拠地として演奏会を開くので、チボリ交響楽団(The Tivoli Copenhagen Phil)とも呼ばれる。上岡敏之が2016/17シーズンより首席指揮者に就任。
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1ポイントマイクをメインとした録音と思われ、コンサートホールの中ほどで聴く音に近い。音場は左右、奥行き方向ともに広い。サラウンドスピーカからの音はオーケストラとの距離感は有るものの、ほぼ直接音。録音場所はコペンハーゲン、王立デンマーク音楽アカデミー内コンサートホール

サラウンド・パフォーマンス  ☆☆☆☆
音質             ☆☆☆☆
チャンネル          5ch

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SACDサラウンド・レビュー(824) [サラウンド・サウンド・レビュー]

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Mahler
Symphony No. 7
CCSSA38019
Iván Fischer/Budapest Festival Orchestra
録音 2015年9月
Channel Classics

マーラー:交響曲第7番ホ短調

イヴァン・フィッシャー(Iván Fischer, 1951年1月~ )は、ブダペスト生まれのハンガリーの指揮者。ウィーン音楽院でハンス・スワロフスキーに師事し、ウィーン交響楽団などへの客演で正当な音楽を作っている。ユダヤ系ハンガリー人で、父シャーンドル、兄アダム、従兄弟ジェルジも指揮者という音楽家の家族である。ブダペスト祝祭管弦楽団の創設にかかわり、1983年来音楽監督を務めている。また、2011年からはベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団の首席指揮者にも就任した。代表盤は音楽監督を務めるブダペスト祝祭管弦楽団との、バルトークやコダーイ、ドヴォルザークの作品など。
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ブダペスト祝祭管弦楽団(Budapest Festival Orchestra)は、ブダペストを本拠地とするハンガリーのオーケストラである。略称は英語ではBFO、ハンガリー語ではBFZ。2008年2月より現在に至るまで、創設者の一人、イヴァン・フィッシャーが音楽監督を務めている。1983年、指揮者のイヴァン・フィッシャーとピアニストのゾルターン・コチシュを音楽監督として創立した。構成する音楽家による自主的な演奏団体である。祝祭の名からもわかるように、当初は年に3、4回程度、ハンガリーの音楽祭などのイベントで演奏する団体であったが、1992年に常設オーケストラとなった。ハンガリー国内において、ベーラ・バルトーク国立コンサートホールやリスト音楽院大ホールで定期的にオーケストラ公演を行っている。また、定期公演中には毎年3月の「ブダペスト春の音楽祭」への出演も含まれる。近年ではザルツブルク音楽祭をはじめ世界各国の音楽祭に出演するなど、国際的な活躍も目立つ。
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ダイナミックレンジの大きな録音で、高域弦は音の伸びが有り、低域弦の響きも豊かである。要所にスポットマイクを配置していると思われ、金管の音がやや強調され気味。サラウンドスピーカーからの音はほぼ直接音が占める。録音場所はブタペスト、芸術宮殿(パレス・オブ・アーツ)

サラウンド・パフォーマンス  ☆☆☆☆
音質             ☆☆☆☆☆
チャンネル          5ch

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ラ・フォル・ジュルネ TOKYO2019(2) [クラシック音楽鑑賞]

L.F.J2019の二日目の今日、以下の演奏を聴いて来ました。
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公演番号212(ホールA)
モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第5番 イ長調K.219「トルコ風」
メンデルスゾーン:交響曲第4番 イ長調op.90「イタリア」

ヴァイオリン 毛利文香
指揮   ミハイル・ゲルツ
演奏   シンフォニア・ヴァルソヴィア

毛利文香(Fumika Mouri,1994年4月~)は神奈川県出身のヴァイオリニスト。ヴァイオリンを3歳半より田尻かをり氏、7歳から現在まで水野佐知香氏に師事。桐朋学園大学音楽学部ソリストディプロマコース、及び洗足学園音楽大学アンサンブルアカデミー修了。慶應義塾大学文学部卒業。2015年9月より、ドイツ・クロンベルクアカデミーに留学し、ミハエラ・マーティン氏に師事している。2012年第8回ソウル国際音楽コンクールに日本人として初めて、最年少で優勝。第54回パガニーニ国際ヴァイオリンコンクール第2位、エリザベート王妃国際音楽コンクール2015第6位。横浜文化賞文化・芸術奨励賞、ホテルオークラ音楽賞など受賞多数。ソリストとして、神奈川フィル、東京フィル、東京シティフィル、東京響、群馬響、大阪響、韓国響、ベルギー国立管、ブリュッセルフィル、クレメラータ・バルティカなど、国内外のオーケストラと共演を重ねるほか、サー・アンドラーシュ・シフ、タベア・ツィンマーマン、堤剛、今井信子、伊藤恵などの著名なアーティストとの共演も数多い。
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毛利文香の演奏は最1楽章の前半は、弓使いのせいなのか、雑音らしき音が2度ほど聴こえたが、楽章が進むにつれて、音色もだんだんと良くなってきたように感じた。カデンツアでは美しい音色を出していた。交響曲4番では楽器の編成も増え、ゲルツの指揮はVn協に比べアクションが大きくなり、躍動感のある指揮に変わった。


公演番号214(ホールA)
ベルリオーズ:序曲「ローマの謝肉祭」op.9
イベール:寄港地
プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第3番 ハ長調op.26

アレクサンダー・ガジェヴ (ピアノ)
演奏 ウラル・フィルハーモニー・ユース管弦楽団
指揮 リオ・クオクマン

アレクサンダー・ガジェヴ(Alexander Gadjiev,1994年~)イタリア生まれのピアニスト。10歳で初リサイタルを開く。マデルナ音楽院を経て、モーツァルテウム大学修士課程にてギリロフに師事。2015年、20歳のとき、浜松国際ピアノ・コンクールで優勝。同年フェニーチェ歌劇場にて、テミルカーノフの指揮でショスタコーヴィチの協奏曲第1番を演奏している。
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廖國敏(Lio Kuokman)はマカオ出身の指揮者。ジュリアード音楽院に留学中、カーティス音楽学校とニューイングランド音楽院でも指揮を学んだ。2014年、スヴェトラーノフ指揮者コンクールで優勝。これまで、オタワ国立芸術センター管、ソウル・フィルなどを指揮。現在、名門フィラデルフィア管のアシスタント・コンダクターを務めている。

ウラル・フィルハーモニー・ユース管弦楽団(Ural Youth Philharmonic Orchestra)は2007年創設。エカテリンブルク内の音楽教育機関の優秀な卒業生・在校生から構成されている。毎シーズン約50公演に出演し、約40種のプログラムを披露。首席指揮者エンヘ、首席客演指揮者ルーディンのほか、フェドセーエフ、リスらの指揮で演奏。フランス、ドイツ、ブルガリア、中国で海外公演を行っている。

モンゴル出身の指揮者エンヘが、健康上の理由により来日できなくなり、急遽マカオ出身の指揮者リオ・クオクマンに変更になった。ウラル・フィルハーモニー・ユース管は弦のパートのほとんど(8~9割)が女性であったが、管楽器と打楽器は男が大半を占めていた。
イベールの「寄港地」は第2曲でアラビア風のキゾチックな旋律で2台のハープや大太鼓、ティンパニ、シンバル、カスタネット、タンバリンなどが加わった。
プロコフィエフのピアノ協3番はかなりテクニックを要する曲だと思われるが、1楽章の後半で高域鍵を強打するところなどでは、ガジェヴはかなり弾きこなしている曲だなと感じた。
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丸ビル1階マルキューブでの芸大の学生によるエリアコンサート
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ラ・フォル・ジュルネ TOKYO2019(1) [クラシック音楽鑑賞]

今年で15回目の開催となるL.F.J.2019の初日に行って来ました。

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公演番号113(ホールA)
モーツァルト:
・ピアノ協奏曲第25番ハ長調 K.503
・クラリネット協奏曲イ長調 K.622

アンヌ・ケフェレック(Pf)
ニコラ・パルディルー(Cl)
指揮   ミハイル・ゲルツ
演奏   シンフォニア・ヴァルソヴィア

アンヌ・ケフェレック(Anne Queffélec, 1948年1月~ )は、パリ生まれのフランスのピアニスト。5歳でピアノの演奏を始め、1964年にパリ音楽院に入学。1965年にピアノで、1966年には室内楽でそれぞれプルミエ・プリ(1等賞)をとる。その後、パウル・バドゥラ=スコダ、イェルク・デームス、アルフレート・ブレンデルに師事し、1968年にはミュンヘン国際音楽コンクールで優勝した。それ以後も、国際舞台の中心で演奏をつづけ、経歴を重ねる。ソロのコンサート・ピアニストとして有名であるばかりではなく、室内楽の分野でもよく知られている。

ニコラ・パルディルー(Nicolas Baldeyrou,1979年5月~)はフランス生まれのクラリネット奏者。8歳からクラリネットを習い始め、パリ国立音楽院卒業。ミュンヘン国際コンクール、アメリカの国際クラリネット協会主宰ヤング・アーティスト・コンペティションで優勝。これまでソリストとして、バイエルン放送響、フランス国立菅、サンクトペテルブルク・フィルなどと共演。現在、フランス放送フィル首席クラリネット奏者、リヨン国立音楽院教授。
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ミハイル・ゲルツ(Mihhail Gerts)エストニア生まれの指揮者。音楽演劇アカデミー、ベルリン・アイスラー音楽大学で学び、エストニア国立歌劇場でオペラ、バレエなどを指揮。2015年にドイツのハーゲン歌劇場のカペルマイスターに就任。これまでケルンWDR響、ベルリン・ドイツ響、ワイマール・シュターツカペレ、NHK響など数々の楽団に客演。
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シンフォニア・ヴァルソヴィアは1984年、メニューインがポーランド室内管弦楽団をもとに設立。作曲家・指揮者のペンデレツキが97年から音楽監督、2003年から芸術監督を務めている。2010年に開始したLFJワルシャワのレジデント・オーケストラでもある。これまで、アバド、デュトワ、アルゲリッチ、ルプー、クレーメルらと共演。

モーツァルトのP協25番は2管編成での演奏。最近は毎年のようにLFJに来日し、演奏を聴かせてくれるケフェレックだが、71歳になり老練の域に達したが、彼女の奏でるモーツァルトは感情のこもった演奏だった。
Cl協はバセット・クラリネットを使用した演奏で、一楽章でバセット・クラリネットの特徴である低域音の響きが美しかった。二楽章ではピアニッシモの音を抑えた演奏にパルディルーの技術の高さを感じた。
ミハイル・ゲルツの指揮の振り方は丁寧でオーソドックスだった。


公演番号115(ホールA)
ショパン:練習曲集 OP.25より
   ・第1番 変イ長調「エオリアンハープ」
   ・第2番 ヘ短調
   ・第6番 嬰ト短調
   ・第7番 嬰ハ短調 
   ・第11番 イ短調「木枯らし」
   ・第12番 ハ短調

ショパン:ピアノ協奏曲第2番 ヘ短調 Op.21


ピアノ       ボリス・ベレゾフスキー
コンサートマスター ヤコブ・ハウファ    
演奏        シンフォニア・ヴァルソヴィア

ボリス・ベレゾフスキー(Boris Berezovsky,1969年1月~)はモスクワ出身のロシアのピアニスト。モスクワ音楽院卒。1990年チャイコフスキー国際コンクール優勝。超絶技巧と力強さ、独自の洞察力と豊かな感性を兼ね備えた才能あふれる音楽家として高い評価を得ている。ミュンヘン・フィル、ニューヨーク・フィル、ロンドン・フィル等世界的オーケストラと度々共演。

ベレゾフスキーの演奏を聴くのは昨年のラフマニノフのピアノ協奏曲第4番に続き、4回目でした。前から5列目の舞台のピアノから低い、音質的にはあまり良くない位置での視聴でした。エチュードOp.25では11番の「木枯らし」がベレゾフスキーのテクニックが如何なく発揮された演奏であった。ショパンのP協は指揮者無しによる、ベレゾフスキーの弾き振りかと思ったが、コンサートマスターがそれを担っていた。
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