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SACDサラウンド・レビュー(823) [サラウンド・サウンド・レビュー]

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Mendelssohn
Symphony No.2
PTC5186639
Anna Lucia Richter (soprano)
Esther Dierkes (soprano)
Robin Tritschler (tenor)
NDR Chor
WDR Rundfunkchor
Andrew Manze/NDR Radiophilharmonie
録音 2017年6月
Pentatone


メンデルスゾーン:交響曲第2番変ロ長調 Op.52「賛歌」

アンナ・ルチア・リヒター(Anna Lucia Richter,1990年~)はドイツのソプラノ歌手。音楽家の家に生まれ、9歳から母より声楽の手ほどきを受け、ケルン大聖堂少女聖歌隊の隊員となる。2013年には、バーゼルでクルト・ヴィトマー教授(Kurt Widmer)に師事、その後ケルン音楽大学で(Klesie Kelly-Moog)に師事した。主な受賞歴としては、2008年ベルリン全国声楽コンクール年少部門第2位、2011年キッシンゲンの夏音楽祭ルイトポルト賞、2012年ツヴィッカウで行われた国際ロベルト・シューマン・コンクール優勝など。
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エスター・ディールケス(Esther Dierkes,1990年2月~)はドイツのソプラノ歌手。
13歳から歌のレッスンを受け、2009年から2015年までフランクフルト音楽芸術大学にてヘドウィグ・ファスベンダー(Hedwig Fassbender)のクラスでオペラを学ぶ。ドイツで毎年行われる青少年音楽コンクール(Bundeswettbewerb Jugend musiziert)で一等賞を獲得。
シュトゥットガルト国立歌劇場の恒久的なメンバーで、これまでにフンパーディンクの「ヘンゼルとグレーテル」のグレーテル、モーツァルトの「魔笛」のパミーナ、「ドン・ジョバンニー」のツェルリーナや「ラ・ボエーム」のミミなどの役を担った。コンサートシンガーとしては、MDR交響楽団、ハノーファー北ドイツ放送フィルハーモニー管弦楽団、NDRエルプフィルハーモニー管弦楽団、フランクフルト・オペラ劇場管弦楽団、hr交響楽団、ポーランド室内管弦楽団、ケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団などと定期的に共演している。
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ロビン・トリッシュラー(Robin Tritschler)はイギリス、アイルランド出身のテノール歌手。アイルランド王立音楽院とロンドン王立音楽院で学ぶ。2007年ウィグモア・ホール国際声楽コンクール(Wigmore Hall International Song Competition)で2位を受賞。2014年末までBBCの新世代アーティストに選出された。
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ハノーファー北ドイツ放送フィルハーモニー管弦楽団(NDR Radiophilharmonie)は、ドイツ、ハノーファーに本拠を置く北ドイツ放送(NDR)付属オーケストラ。厳密には北ドイツ放送ラジオフィルハーモニー管弦楽団だが、日本ではハノーファー北ドイツ放送フィルハーモニー管弦楽団と表記されている。北ドイツ放送付属としては、ハンブルクの北ドイツ放送交響楽団(1945年創立)に次いで5年後に結成された第2のオーケストラである。ヨーロッパの伝統的な古典派音楽からロマン派音楽を主なレパートリーとし、ハンブルクに本拠を置くNDRエルプフィルハーモニー管弦楽団とは異なり、マーラーのような大編成の曲目や現代音楽はほとんどやらず、レパートリーの分担が確立している。2014年よりアンドルー・マンゼが首席指揮者に就いている。
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アンドルー・マンゼ(Andrew Manze, 1965年~ )は、イギリス生まれ。バロック・ヴァイオリニストとしては1610年から1830年までの音楽のスペシャリストとして知られ、指揮者としてはバロック音楽から古典、あるいは19世紀から20世紀音楽にまでいたる、幅広い年代の音楽のエキスパートである。演奏活動以外にも教育活動、楽譜の校訂、著作業などにも携わっている。 演奏家としては、イングリッシュ・コンサートと共に古典派のレパートリーを研究しており、モーツァルトのヴァイオリン協奏曲、管弦楽曲、オラトリオ編曲作品などを手がけている。指揮者としては1996年から2003年までエンシェント室内管弦楽団の副指揮者、2003年から2007年までトレヴァー・ピノックの後任者としてイングリッシュ・コンサートの芸術監督を務める。2006/2007年のシーズンよりスェーデンのヘルシングボリ交響楽団の首席指揮者を務めている。2014/2015年のシーズンからハノーファー北ドイツ放送フィルハーモニー管弦楽団(NDR Radiophilharmonie)の首席指揮者に就任。最近では2013年7月に来日し、NHK交響楽団を指揮した。
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音響空間は左右、奥行き方向とも広く、コンサートホールの中ほどで聴く音に近い。 第1部の冒頭のトランペットの響きがナチュラルで快い。低域弦の響きは豊かで、ホールトーンを感じる。ソロ歌手は少し下がった位置で、ソプラノが左、テノールが右にそれぞれ定位している。サラウンドスピーカーからの音はアンビエンスがメイン。録音場所はハノーファー、NDR放送大ホール(NDR Landesfunkhaus großer sendesaal)

サラウンド・パフォーマンス  ☆☆☆☆
音質             ☆☆☆☆
チャンネル          5ch

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SACDサラウンド・レビュー(822) [サラウンド・サウンド・レビュー]

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JET SET!
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Gudrun Sidonie Otto(soprano)
Simon Murphy(viola)
Simon Murphy/New Dutch Academy Chamber Orchestra
録音 2017年5月(DSD録音)
Pentatone

カール・フリードリヒ・ツェルター:協奏曲 変ホ長調~ヴィオラとオーケストラのための
カール・フリードリヒ・アーベル:
・交響曲 ハ長調 Op.14-1 WK25
・交響曲 変ホ長調 Op.14-2 WK26
W.A.モーツァルト:スザンナのアリア「恋人よ、早くここへ」~歌劇「フィガロの結婚」よりK.492
ヨハン・フリードリヒ・ライヒャルト:交響曲 ト長調
ステファン・ストーレース:アリア「国内平和」~歌劇「ベオグラード包囲」より(サイモン・マーフィー編曲)
ジョヴァンニ・パイジェッロ:アリア「もはや私の心には感じない」~歌劇「水車小屋の娘」より


カール・フリードリヒ・ツェルター( Carl Friedrich Zelter、1758年12月~1832年5月)は、ドイツの作曲家、指揮者、音楽教師。ドイツの文豪ゲーテとは親しい間柄であり、ツェルターの作品にはゲーテの詩に付けられたものもある。彼はその経歴の中で、約200曲のリートとともに、カンタータ、ヴィオラ協奏曲、ピアノ曲を作曲した。

カール・フリードリヒ・アーベル(Carl Friedrich Abel,1723年12月~1787年6月)は、ドイツ出身の古典派音楽の作曲家。ヴィオラ・ダ・ガンバの名手であり、貴重な作品を残した。バッハ一族と交流があり、父親は大バッハの宮廷楽団のガンバ奏者だった。カールもまたバッハの口利きでドレスデンの宮廷に職を得ている。アーベルの作品のなかで、最もよく知られているものの一つが、「6つの交響曲集Op.7」である。

ヨハン・フリードリヒ・ライヒャルト(Johann Friedrich Reichardt,1752年11月~1814年6月)はプロイセン王国の作曲家、音楽評論家。ライヒャルトの作曲家としての名声は、数にして約1500曲に上るリートにほとんどを負っている。原詩の作者はおよそ125人に及ぶ。中でも最も重要なのは、ゲーテの詩に曲付けされた歌曲であり、いくつかのゲーテ歌曲はフランツ・シューベルトにも影響を与えた。

ステファン・ストーレース(Stephen John Seymour Storace、1762年4月~1796年3月)はイギリスの作曲家。ロンドンでイギリス人の母親とイタリア人の父親の間に生まれる。父親はコントラバス奏者、作曲家で、幼少のころはイタリヤで教育を受けた。主な作品は歌劇「ホーンテッドタワー(The Haunted Tower ,1789年)」、「パイレーツ(The Pirates ,1792年)」、「(No song, no supper,1790年)」、など19作品の歌劇とバレエ音楽や室内楽、歌曲などを作曲した。

ジョヴァンニ・パイジエッロ(Giovanni Paisiello, 1740年5月~1816年6月)はイタリアのオペラ作曲家。美声ゆえに多くの注意を惹き付け、ナポリの音楽学校に送られてフランチェスコ・ドゥランテに師事。1763年に音楽学校を終えると劇場のためにいくつかの幕間劇を作曲。知られている限り94曲の歌劇を作曲した。教会音楽も非常に数多く、8曲のミサ曲のほかにたくさんの小曲がある。他に交響曲、ピアノ協奏曲、弦楽四重奏曲など51曲の器楽曲と、数々の独立した小品がある。

グズルン・シドニー・オットー(Gudrun Sidonie Otto,1979年~)はドイツのソプラノ歌手。1986年から1998年までロバート・シューマン音楽院にて声楽、ヴァイオリン、ピアノを習う。その後1998年から2004年まで、ワイマール・フランツ・リスト音楽院(Musik Franz Liszt in Weimar)にて声楽をHelga Bante, Mario Hoffに師事。2007年にラインスベルク城室内オペラ・国際コンクール(Schloss Rheinsberg international singing competition)の現代音楽部門で優勝。3008年から2009年のシーズンに、ドイツ・ オーストリア・ヴェッセン財団から奨学金を受ける。
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サイモン・マーフィー(Simon Murphy,1973年8月~)はオランダを中心に活躍するオーストラリア出身の指揮者、ビオラ奏者、音楽学者。シドニー大学を卒業後、シドニー交響楽団にてDavid Porcelijnやハンス・フォンク(Hans Vonk)に師事し指揮者として研鑽を積んだ。1996年からはオランダに渡り古楽の若手指揮者として活躍している。 新オランダ・アカデミー室内管弦楽団(New Dutch Academy)の指揮者、音楽監督を兼任している。

新オランダ・アカデミー室内管弦楽団(New Dutch Academy)略称NDAは、オランダのハーグを拠点とした2002年創立の古楽の演奏に特化したグループ。古楽器を使用し、18世紀の音楽を中心に演奏しており、国際賞も受賞している。指揮と音楽監督にはサイモン・マーフィーが就いている。

録音レベルは大きめだが、高域弦はみずみずしく、低域弦は豊かな響きをしており、好録音。トラック7、11、12ではソプラノのソロが入るが、楽器との音のバランスは良い。サラウンドスピーカーからの音はほぼ直接音。録音場所はオランダ、ハーグ、ゴシック・ホール

サラウンド・パフォーマンス  ☆☆☆☆
音質             ☆☆☆☆☆
チャンネル          5ch

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SACDサラウンド・レビュー(821) [サラウンド・サウンド・レビュー]

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The Great War Centenary
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Michael Foyle (violin)
Maksim Stsura (piano)
録音 2018年4月
Challenge Classics

第1次世界大戦時代のヴァイオリン・ソナタ集
・ドビュッシー:ヴァイオリン・ソナタ ト短調 L140
・ヤナーチェク:ヴァイオリン・ソナタ JW VII/7
・ヘスケス:Inscrizione (derivata) A Lie to the Dying
・レスピーギ:ヴァイオリン・ソナタ ロ短調 P110


フォイル=シュトシュラ・デュオ(Foyle-Štšura Duo)は、ロンドンを活動拠点とする、ヴァイオリンのマイケル・フォイル(Michael Foyle)とピアノのマクシム・シュトシュラ(Maksim Stsura)からなるデュオ。'Salieri-Zinetti'国際室内楽コンクール2015と、ベートーヴェン・ピアノ協会・ヨーロッパ・デュオコンクール(Beethoven Piano Society of Europe Duo Competition)で優勝。これまで、スティーヴン・コヴァセヴィチ(Stephen Kovacevich)やマキスム・ヴェンゲーロフ(Maxim Aleksandrovich Vengerov)のマスタークラスで指導を受け、2018年現在はシティ・ミュージック財団のアンバサダーも務めている。
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マイケル・フォイル(Michael Foyle,1991年~)はスコットランド出身のヴァイオリニスト。ウイーン・コンセルバトリウム音楽大学でパヴェル・ヴェルニコフ( Pavel Vernikov)に師事。2008年のBBCヤングミュージシャン・オブザイヤー・テイバー・アワード2008(BBC Young Musician of the Year Tabor Award)とロイヤル海外リーグ弦楽コンクール2013(Royal Overseas League String Competition)を受賞した。2016年オランダ・ヴァイオリン・コンクール(Netherlands Violin Competition)で優勝。英国王立音楽院の教授。
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マクシム・シュトシュラ(Maksim Stsura )はロンドンを活動拠点とするエストニア出身のピアニスト、作曲家、音楽学者。2008年の第7回エストニア・ピアノ・コンペティション優勝。2013年に英国王立音楽大学から音楽の修士号を取得。セント・マーティン・イン・ザ・フィールズ、パーセルルーム、ウィグモアホールなど、イギリス各地の有名なコンサートホールでソリストおよび室内楽演奏家として幅広く活動している。
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ヴァイオリンはナチュラルでクリアーな響きを伴い、センターやや左に定位している。ピアノはセンター右寄りの少し下がった位置に定位している。教会での録音だがサラウンドスピーカーからの音はほぼ直接音が占める。録音場所はオランダ、スキーダム、Westvest Church

サラウンド・パフォーマンス  ☆☆☆
音質             ☆☆☆☆
チャンネル          5.1ch

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SACDサラウンド・レビュー(820) [サラウンド・サウンド・レビュー]

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Mendelssohn
Piano Concertos
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Ronald Brautigam (piano)
Michael Alexander Willens/Die Kolner Akademie
録音   2016年7月(Piano Concerto No.1,Capriccio)
     2017年7月(Rondo,Piano Concerto No.2 ,Serenade und Allegro)
BIS



フェリックス・メンデルスゾーン :
・華麗なロンド 変ホ長調 Op.29
・ピアノ協奏曲第1番 ト短調 Op.25
・華麗なカプリッチョ ロ短調 Op.22
・ピアノ協奏曲第2番 ニ短調 Op.40
・セレナードとアレグロ・ジョコーソ Op.43,MWVO12


ロナルド・ブラウティハム(Ronald Brautigam,1954年10月~)はブラウティガムと呼ばれることもある。オランダの主要なピアノ演奏家の一人。最初はモダンピアノの奏者としてキャリアをスタートしたが、今ではフォルテピアノの演奏家として地位を確立している。アムステルダムに生まれ、スウェーリンク音楽院でヤン・ウィーンに師事。その後、ルドルフ ・ ゼルキンについてアムステルダム、ロンドン、アメリカ合衆国で学んだ。1984 年にオランダの権威ある音楽賞のNederlandse Muziekprijsを受賞した。リッカルド・シャイー、シャルル・デュトワ、ベルナルド・ハイティンク、フランス・ブリュッヘン、フィリップ・ヘレヴェッヘ、クリストファー・ホグウッド、アンドルー・パロット、ブルーノ・ワイルなどの著名な指揮者のもと、主要なヨーロッパのオーケストラと定期的に共演している。最近では2017年2月に来日し、モーツァルトやベートーヴェンのピアノ・ ソナタの公演を行った。

ミヒャエル・アレクサンダー・ヴィレンズ(Michael Alexander Willens)はアメリカの指揮者。ジュリアード音楽院にて指揮をジョン・ネルソン(ジュリアード音楽院)、レナード・バーンスタイン(タングルウッド)などに学ぶ。リンカーンセンターのグレート・パフォーマーズ・シリーズやドイツ、オーストリア、フランス、スペイン、イタリアなどの主要な音楽祭に出演。ケルン・アカデミーの音楽監督。

ケルン・アカデミー(Kölner Akademie)は指揮者のミヒャエル・アレクサンダー・ヴィレンズによって、1996年に創設されたドイツのケルンを拠点とするオーケストラ。レパートリーは17世紀から21世紀までの音楽で、それらの作品をその時代の演奏解釈のもとに時代に合った楽器(バロック、クラシックなど)を使い分ける。歴史的研究を追求し、作曲家の意図を引き出すことを心がけるその演奏は新鮮で自然に聴こえ、作品の本来の姿を生き生きと響かせる。 2013年5月にブラウティハム、ヴィレンズと共に来日し、モーツアルトのピアノ協奏曲などを演奏した。
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使用しているピアノが音量の少ないフォルテピアノのためか、少し下がった位置に定位しており、奥行き感のある録音になっている。スポットマイクは多用せず、1ポイントマイクをメインとした録音と思われる。サラウンドスピーカーからの音はマイクを遠目にセッティングしてアンビエンスな音を捉えている。録音場所はケルン、ドイツ放送室内楽ザール(Deutschlandfunk Kammermusiksaal,Köln)


サラウンド・パフォーマンス  ☆☆☆☆
音質             ☆☆☆☆
チャンネル          5ch

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